※のりお「半身麻痺になった学生が大学に入学して感じたこと」
もあわせてお読みください。
◆就活について
機械系の学生生活は、製図、レポート、実験など日々の課題に追われることが多く、私自身も「理系は大学院に進学して専門性を高めるのが一般的」という考えを持っていました。そのため、学部卒での就職を深く意識することはほとんどありませんでした。
しかし、大学3年の夏休み、学校を通じて案内が届いたGATE-Cのオンラインフェアに参加し、企業の人事担当者から直接話を聞いたことで、初めて「学部卒で働く」という選択肢が現実味を帯びてきました。
その後、留年が決まり再び春から就活をやり直すことになりましたが、最初の年は「合同説明会への参加」「企業イベントへの参加」「春・冬インターンのES提出」「本選考のES提出」など、経験を積みながらも本格的な就職活動のスタートは翌年になりました。
◆障害のある理系学部生として技術職就活をして感じたこと
ー①障害者手帳を持っていると就活は「楽」なのか?
内定をいただいた後、授業後に教員へ配慮事項を伝えていた際、「手帳を持っていたら就活は楽だったの?」と聞かれたことがあります。その場では「企業や職種による」と簡単に答えましたが、この質問そのものに、障害学生が就活で直面する“見えないギャップ”が象徴されていると強く感じました。
そもそも障害者雇用率制度は「障害のある人が、障害のない人と同じように働ける社会をつくる」ための仕組みであり、「障害学生が楽に就活できるようにする制度」ではありません。しかし現実には、制度の意図が十分に社会へ浸透しているとは言えません。
私は移動に障害がありますが、企業説明会や工場見学では、障害者向けイベントであっても配慮事項の記入欄がなく、事前に個別連絡しなければならない場面が多くありました。また、あるメーカーでは「障害者採用は主にパートタイムを想定しているため、技術職は一般枠で応募してほしい」と言われたこともあります。必要な配慮を受けながら働くことを前提とすると、障害学生向けイベントに積極的な大手企業に応募が集中してしまい、結果として「障害のある学生=大企業に就職することが多い」という現象が生まれているように思います。
一方、ある企業の障害のある社員の方が「障害者枠がなければ自分はこんな大企業に入れなかった」と語っていたことも印象的でした。しかしこれは人によって感じ方が大きく異なる言葉だとも思います。私自身は病気により大学生活に支障が出たこともあり、「社会復帰」という意味で制度の存在をありがたく感じました。同時に、この制度を利用することは正当であり、「もし障害がなければ」「もし制度がなければ」といった仮定に意味はないとも思いました。障害当事者にとって重要なのは、いまの状態でどう社会と関わり、働いていくかという一点だからです。
ー②「障害を持っている」という一括りで集められる現実
障害学生向けイベントに参加すると、文理も専攻も異なる学生、さらには障害内容もまったく異なる学生が集まります。そこでまず驚いたのは、「見ただけでは障害の種類がわからない学生が想像以上に多い」ということでした。私自身は杖や装具を用いているため比較的わかりやすいのですが、周囲には一見して障害の有無が判断できない学生が多く、普段どのような支援を受け、企業へどんな配慮を求めるべきか想像が難しい場面もありました。この経験から、「自分の状態を相手にわかりやすく伝える方法を工夫する重要性」を実感しました。
さらに意外だったのは、後天的な障害を持つ学生が非常に多かった点です。あるイベントで6人グループになった際、先天的な障害を持つ学生は1人だけで、他の多くは大学生活や就活を通じて初めて自分の障害と向き合っていると話していました。その中の一人が「自分の障害をいつ伝えるべきか迷う」という悩みを話してくれたのですが、これは障害内容が異なっても共通する課題だと気づくきっかけになりました。
「自分とは違う障害だから参考にならない」と思い込んでしまうと学びの機会を逃してしまいます。むしろ、「伝えるタイミングや伝え方を工夫しなければ相手に理解されず、必要な配慮が受けられない」という共通の課題は、多くの障害学生に当てはまるものだと実感しました。
③障害があるからこそ見えてくる、自分の役割と強み
ある企業のオンラインワークショップで、議題について話し合い、出た意見を資料にまとめて発表する機会がありました。私は手の障害がありタイピングが得意ではありません。一方、同じグループには声や呼吸器に障害のある学生がいて、その方は資料作成や要点整理が非常に得意でした。その方が主体的に資料作成を担ってくれたおかげで、私たちの発表は視覚的にもわかりやすいものとなりました。
この経験を通じて、「障害があると、どうしても“できないこと”に意識が向いてしまいがちだが、就活においてそれ以上に大切なのは、自分が得意なことややりたいことを明確にし、やりたいことの中で自分が活躍できる部分を探して自分の役割を発揮すること」だと気づきました。働くうえで重要なのは、できない部分を補い合いながら、強みを活かして価値を生み出すことであり、障害の有無はその役割を再確認するきっかけに過ぎないのだと思います。
障害のある理系学部生として技術職就活をして感じたこと②はこちら
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