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【アーカイブ動画】「より良い就労移行の選び方」〜就労移行を選択肢に加えてみませんか?〜

GATE-C編集部

「卒業=即就職」だけが正解じゃない

障害のある大学生・大学教職員向けセミナー「より良い就労移行の選び方」のダイジェスト。自立学実践研究所・田中佑樹氏に、学生と社会人の合理的配慮の違い、障害者雇用の今、就労移行を比較するときの3つのポイントを解説いただきました。



大学を卒業したら、すぐに就職する。それが当たり前の道だと思われがちですが、障害や特性のある学生にとっては、「働く準備の期間」を挟むという選択肢もあります。

10/6に開催したセミナー「より良い就労移行の選び方 ― 就労移行を選択肢に加えてみませんか?」では、一般社団法人自立学実践研究所 代表の田中佑樹さんを講師にお迎えしました。田中さんは企業・医療法人を経て、就労移行支援事業所で長く支援に携わってきた社会福祉士・公認心理師。現在は企業の障害者雇用推進や就労支援サービスのサポート、政策提言にも関わっています。「企業」「福祉」「その間をつなぐ支援者」という3つの立場から語られたお話の一部を、ダイジェストでご紹介します。


大学と企業では「合理的配慮」の前提が違う

セミナーは、参加者への問いから始まりました。

「大学で受ける合理的配慮と、企業で受ける合理的配慮。一番の違いは何でしょうか?」

田中さんが挙げた答えのひとつは、「雇用契約を結んでいるかどうか」。企業での配慮は、あくまで「仕事をするために、どんな配慮が必要か」という観点で考えられます。フルタイムで働いた経験のない学生にとって、これを自分で想像するのは実はとても難しいことです。

スライドでは、「朝が苦手で午前中の講義に出られなかった」という同じ悩みを、大学と企業の面談でそれぞれ相談した場面が紹介されました。大学では「工夫すれば単位は取れますよ、一緒に考えましょう」となる一方、企業の担当者は「ぜひ採用したい。でも、午前中の会議にはどう参加してもらおう……」と悩んでいる。同じ相談でも、受け止められ方がこれほど違うのです。

また田中さんは、合理的配慮は「するか・しないか」ではなく、対話を重ねながら「調整していくもの」だと強調しました。入社時に伝えた配慮事項は、働き始めると変わることも多い。だからこそ、入社後にどう相談し、どう調整していけるかの方がはるかに大切だといいます。

面接官が本当に聞きたいのは「自分なりの工夫」

障害者雇用に慣れた面接官ほど、配慮事項を聞いたあとにこう尋ねるそうです。

「ご自身の特性に対して、何か対処や工夫をされていることはありますか?」
「体調を整えるために続けている習慣やセルフケアはありますか?」

この質問の背景にあるのが、障害者雇用促進法に記された「職業的自立」という考え方です。企業は配慮をする。そのうえで本人も、自己理解やセルフケア、困ったときに相談することを通じて、少しずつ「自分で対処できること」を増やしていく。配慮と自立はどちらか一方ではなく、両方そろって初めて長く働き続けられる、というのが田中さんの説明でした。

自立についての問いかけでは、参加者から「自分で選択して対処し、時には頼れること」というコメントも寄せられました。田中さんが考える自立も、「一人で何でもできること」ではありません。

  • 結果よりもプロセスを大事にすること

  • 見通しを持って試し、振り返る学習サイクルを回すこと

  • そして依存先を増やして一人で抱え込まないこと。

この3つがポイントだそうです。

障害者雇用の今と、多様になった働き方

続いて、障害者雇用の現状が紹介されました。法定雇用率は2026年7月から2.7%に引き上げられ、2030年には3.0%程度になるという予測もあります。働く障害のある方はこの20年で約27万人から約70万人へと、2.6倍ほどに増えました。

一方で、働き方のかたちも大きく広がっています。本社の部署に配属されるケースのほか、在宅勤務、障害のある社員がチームを組む「集約型」、特例子会社、障害者雇用支援会社が運営するサテライトオフィスや農園など、さまざまです。どのかたちを選ぶかで、受けられるサポートの量や質は大きく変わります。とはいえ、自分にどれが合っているかを学生のうちに一人で見極めるのは簡単ではありません。詳しい支援者と一緒に考えられることが、就労移行を利用するメリットのひとつだと田中さんは話します。

就労移行は「伴走型の専門学校」のような場所

就労移行支援事業所(以下、就労移行)は、障害や疾患のある方が就職に向けて通う福祉サービスです。田中さんは、伴走支援を受けられる「専門学校」のようなイメージだと表現しました。利用期間は原則2年で、就職までのペースは人それぞれ。定員に空きがあれば年度の途中からでも通い始められ、利用者の約9割は利用料がかかりません。

大きな特徴が、就職したあとも続く「定着支援」です。就職後も一定期間、支援員が職場を訪問し、本人と企業の間に入って配慮のすり合わせや悩みの相談に乗ってくれます。「就職はゴールではなく、スタートライン」。これは多くの支援者に共通する考え方だそうです。

もちろん、卒業後すぐに就職する場合にもメリットはあります。新卒として就職活動ができること、早く経済的な基盤をつくれること、キャリアに空白期間ができないこと。一方、就労移行を挟む場合は、収入のない期間が生まれることや、事業所によって質に差があることも理解しておく必要があります。どちらを選ぶかは本人が決めること。周りの大人には、その相談相手になってほしいと田中さんは呼びかけました。

比較せずに決めていませんか? 就労移行を選ぶ3つのポイント

セミナーの後半は、本題である「選び方」です。アンケートによると、見学や体験を1か所だけで済ませて利用先を決めている人が多数を占めています。しかし就労移行の質は事業所ごとにばらつきがあり、同じ法人でも雰囲気はまったく違う。複数の事業所を見学・体験して比べることが欠かせない、と田中さんは話します。

見学者へのアンケートでは「スタッフの人柄」や「雰囲気」を重視する声が多く見られました。ですが田中さんが優先してほしいと挙げた順番は、

  • 1つ目が「就職(就労支援)の中身」

  • 2つ目が「プログラム」

  • そして3つ目に「人・雰囲気」

なぜ「人」の優先順位が低いのか、見学のときに具体的に何を質問すればよいのか、さらに事業所探しに使える公的な検索サイト「WAMNET」の活用法まで、すぐに使える実践的なノウハウが紹介されました。

最後には、大学卒業後に就労移行を利用した先輩たちの声も紹介されました。

「ホームページには良いことしか書いていないから、自分の目で確かめて」
「新卒カードを失うのが怖かったけれど、卒業後にゆっくり就活するのも『ありだな』と気づけた」

先輩たちの言葉には、これから進路を考える学生にとってのヒントが詰まっていました。


おわりに

田中さんはセミナーを、「安心・安定して長く働き続けることの大切さ」と「依存先を増やしていくことの大切さ」という2つのメッセージで締めくくりました。就労移行は、誰にとっても正解というわけではありません。それでも、選択肢のひとつとして知っておくだけで、卒業後の道の見え方は少し変わるかもしれません。

本記事でご紹介したのは、セミナーのごく一部です。比較のポイントの詳しい中身や先輩たちの声は、ぜひ本編でご覧ください。また、GATE-Cの「障害のある学生と支援者のための就活情報まとめサイト」では、各地域の就労移行を紹介する動画も公開しています。「まずは見るだけ」から、気軽にのぞいてみてください。


視聴方法

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下記よりご視聴いただけます。

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「より良い就労移行の選び方」〜就労移行を選択肢に加えてみませんか?〜

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