◆はじめに(企画趣旨)
自分の保護者には、面と向かうと言いづらいことがあります。
本企画では、障害のある「先輩」学生が、
「自分の保護者」に対してではなく、
障害のあるお子様を持つ「後輩の保護者」に向けて、
「お子様の一番の理解者になって欲しい」という気持ちから
自分が、保護者にしてもらって
「嬉しかったこと」や「嫌だったこと」等を言葉にしています。
お子様とのより良いコミュニケーションに役立てていただければと思います。
◆先輩 自己紹介
兵庫県の片田舎の出身、現在は東京に一人暮らし中
一人っ子
私立大学国際系学部4年
中高の社会科の教職課程も履修中
生まれつき両耳ともに100dBを超える聴覚障害
障害者手帳を所持(2級)
2歳に左耳に人工内耳の手術を行い、左耳は人工内耳、右耳は補聴器で生活
2歳から聾学校に通い、地元の公立小学校、中学校、県立高校に進学
小学校と中学校は特別支援学級に所属し、学期に1度通級
高校は普通学級に所属
◆保護者との関わりで良かったこと
保護者との関わりの中で良かったことを3つ挙げます。
①早めに人工内耳装用の手術をしてくれたこと
ー人工内耳の装用は早いほど言語の発達に良いと個人的には感じています
私の場合2歳に手術したため、臨界期を迎える前に言葉の練習ができました。
今ではかなり自然な発音で会話ができています。
ー当時は情報も少なく不安だったが、今振り返ると良かったと思っています
今は両耳とも手術ができますが、当時は法律で片耳しか手術ができませんでした。
もし、両耳を手術していれば、聞こえの左右差も少なかったのかな、と思うこともあります。
②常に多くの選択肢を用意してくれたこと
私は今まで、親に多くの選択肢を用意してもらっていたと感じています。
ー習い事もたくさんさせてもらいました
英会話、ガールスカウト、薙刀、書道、水泳、ピアノ、塾、通信教育。
難聴の人には苦手とされる英語も、幼少期からなじんでいたため、今では普通に会話ができます。
(人工内耳を外すので)水泳では、コーチの指示が全く聞こえませんでしたが、何とか周りを見て泳いでいました。
※母が事前に教室には連絡してくれていました。「難聴だから難しい」といった先入観を捨てて、多くのことにチャレンジさせてもらえたことには感謝しています。
ー学校と家族以外のコミュニティを知ることができたこと、コミュニティの中で人間関係や上下関係を学べたことは良い経験でした
(特にきょうだいがいなかったため)
③自立の手助けをさりげなく用意してくれたこと
ー高校生から1人で、電車とバスを利用して通院したこと
以前は、母の運転する車で、片道1時間半程度かけて通っていました。
スマホを持ち始めた高校生から、1人で行くようになりました。
公共交通機関の乗り継ぎだけでなく、人工内耳の手入れや先生への相談など、それまで母に頼っていたことを自分で管理していくようになりました。
ーもちろん、失敗談もあります
中学生の時、自分がスケジュール管理ができず、部活の試合と英検の二次試験、家族が集まる行事をトリプルブッキングしたこともあります(笑)
電車に乗り間違えて、帰りが遅くなったり、迷ったこともあります。
ー大学進学の際、一人暮らしも反対されなかった
私は、地元を離れて、東京で一人暮らしをしています。
一人娘の一人暮らしは不安(難聴で朝起きられるかどうかもあやしい)だったはずと思いますが、特に反対されることなく、一人暮らしをさせてもらえました。
一人暮らしをさせてもらえたことも大きな学びでした。
ー「さりげなく」が大事
強制したり、急に手を放したり、直接指示するのではなく、
段階を踏んで準備させてくれていたからこそ、スムーズに自立ができるようになったと感じています。
自立することによって得られるメリットも同時に楽しむことができました。
ー通院の後に一人で買い物に行くことができる。
ーいつも買ってもらえなかった院内のスタバに行くことができる。
ー親なしで友達と遠出することができる、など。
◆保護者との関わりで嫌だったこと
ー正直なところ「特に覚えていない」
喧嘩はたくさんしたけど、その原因は些細なことなので忘れています。
親も人間だから、失敗したこともたくさんあったとは思いますが、いちいち子供も覚えていません。
ー人と比べられること
あんまり記憶はないですが、人と比べられることは嫌だった記憶があります。
周囲の友人や、先輩と比べて○○ができていないと指摘されるとイライラしていました。
ーできること、できないことは人それぞれなので過度に比較されると嫌でした。
ー親子でも価値観や時間配分が違うことはあるので、お互い言語化して話し合うと解決しやすいと思います。就活の情報を、私の知らないところで知人の親に勝手にされたときは「やめてほしい」と伝えました。
◆後輩の保護者の皆さまへ

ー一見すると、良好な親子関係に見えますが、高校受験や大学受験期は親子共に疲れていてギスギスしていたことも
塾の送迎や、親の職場の変化も重なったこともあり、今、振り返れば、お互いしんどい時期だったと思います。
当時、はお互い晩御飯のお皿を洗いたくなくて、喧嘩になったことさえありました。
ー親子関係は常に変化していくもの
小学校は、親の言うことを素直に聞いていた子供だったと思います。
中学校、高校は思春期だったこともあり喧嘩も多かったです。
ー常に喧嘩していたわけではなく、楽しく会話するときもありました。
ー親・家族以外の居場所を求めるようになっていて、学校の先生のことや他の大人が魅力的に見えていた時期でした。
ー今振り返ると、自立には必要なプロセスだったと思っています。大学生になり、一人暮らしを始めてから、良き相談相手となってくれました。
ー大学卒業後の進路の相談もしました。
ー『相談してくれてありがとう』と言ってもらえたことも嬉しかったです。
ー中高生より距離が縮まった気がしています。
ー一人暮らしをして物理的な距離が遠ざかった分、日々の連絡や些細な話もよくするようになりました。
ー現在では、迷うことがあると一番に相談する相手です
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