2024年8月27日、日本航空株式会社の本社を訪問し、オフィス見学や障害のある社員の方々との座談会などを行う「企業見学ツアー」を開催しました。開催レポートをお届けします。
◆ツアー概要
<参加学生>
障害のある学生(障害者手帳所持、もしくは申請中の方):11名
※全学年参加可能
<会場>
日本航空株式会社 本社(東京都品川区)
<プログラム>
1. 採用グループ長あいさつ、社員紹介
2. 企業説明
3. オフィス見学
4. 先輩社員との座談会
5. 感想の共有
◆ツアー詳細
日本航空(以下、JAL)では、運行乗務と客室乗務以外の業務を担う「業務企画職」の採用にあたり、障害者手帳を持つ人を対象とした選考を行っています。今回のツアーは、その業務企画職の仕事と職場を知ることを目的に開催されました。
業務企画職の方々の多くが働いているJAL本社は、東京モノレール・東京臨海高速鉄道りんかい線「天王洲アイル」駅そば。11名の学生が訪問しました。
1. 採用グループ長あいさつ、社員紹介
プログラム開始にあたりごあいさつくださったのは、人財本部 人事部 採用グループ グループ長です。「様々な気づきを得られるプログラムを用意しているので、何よりもまず楽しんでほしい」との暖かいメッセージをいただきました。
続いて、ツアーを取り仕切る人事部などの社員の皆さんが自己紹介。6名の方がアテンドしてくださいます。
2. 企業説明
いよいよプログラムに入ります。まずは、企業説明としてJALの事業とDEI(Diversity, Equity & Inclusion)、そして業務企画職について説明を受けました。
JALのDEIの考え方として示されたのは、多様性を大事にし(Diversity)、性別や国籍、障害の有無などを問わず多様な人々を受け入れ、一緒になって働くこと(Inclusion)、そして、個々人の特徴に応じた支援を行って公平にスタートラインを整えること(Equity)により、誰もが能力を発揮して働き、企業として新たな価値を生み出していくことを目指しているということでした。
そのための制度として、テレワークやフレックス、ワーケーション(※1)、ブリージャー(※2)などの制度を整えているとのことです。また、車椅子用トイレや読み上げソフト、音声文字変換ソフトなどを用意し、障害に応じて個別に合理的配慮を行っているとのことです。さらに近年は、社員に対する心のバリアフリー教育にも力を入れているそうです。
※1 旅行や帰省時の休暇の取得期間を長くするために、一部の業務を旅先でも認める制
※2 出張先で休暇を取得できる制度
続く業務企画職の概要説明においては、運行乗務と客室乗務を除く幅広い業務を行う職種であることや、「コーポレートコース」「オペレーションコース」「ビジネス・マーケティングコース」「エアラインエンジニアコース」「データサイエンス・デジタルテクノロジーコース」の5コースに分けて採用を行っていることなどが説明されました。
3. オフィス見学
続いて、オフィス見学です。人財本部人財戦略部、CX本部CX推進部、JALの特例子会社である株式会社JALサンライトの合計3つのフロア・執務室を見学し、それぞれの部署で働く障害のある社員の方にお話を伺いました。
オフィス環境は、業務内容などに応じて少しずつ異なっていました。例えば、人材戦略部の執務室は、執務スペースと打ち合わせスペースで半々に空間が分けられているのが特徴的でした。また、入口のドアを開いた正面に社員の皆さんの出勤状況が分かるボードが置かれ、誰が出社していて、誰がテレワークをしているのかが一目で把握できる工夫がなされていました。
一方、CX推進部は顧客データを扱う部署であることから、執務室はガラスパーテーションで囲まれ、入退室も厳重に管理されている点が特徴的でした。
JALサンライトは、障害のある社員が約半数を占めていることなどから、通路が広めにとられていたり、原則フリーアドレス制であったりと、「楽しく来られる職場」をコンセプトにオフィス空間が作られているそうです。オフィス内には、災害発生時に災害の内容に応じて異なる色でランプが点灯する機器が設置され、視覚で災害を認識できる工夫なども施されていました。
それぞれの部署で働く障害のある社員の方々からは、担当業務や1日のスケジュール、やりがいに感じていることなどについて伺いました。その内容や同僚の方々とのやりとりから、学生からは「社員同士の距離が近いと感じた」などの声が挙がっていました。
オフィス見学後の休憩時間には、飲み物の購入を希望する学生がいたことから、急遽、最上階の25階にあるカフェテラス「SKY TERRACE」を見学することに。東京湾を一望できるカウンター席や、テーブル席、ファミレスのようなボックス席など様々な形の席が設けられた、食事だけでなく打ち合わせなども可能なコミュニケーションスペースとなっていました。
4. 先輩社員との座談会
続いて行われたのは、障害のある先輩社員によるパネルトークと座談会です。次の3名の先輩社員が参加してくださいました。
Aさん:東日本国際販売部(ビジネス・マーケティングコース)。日本から海外への貨物輸送を希望する顧客への輸送戦略の立案や提案を担当。
Bさん:CX本部 CX推進部 お客さまサポート室(オペレーションコース)。顧客の声をもとにしたサービスの改善の検討・推進を担当。
Cさん:人材本部 人材戦略部 グローバル推進室(コーポレートコース)。海外支店から日本に赴任する外国籍社員について、住居なども含めた必要な手続きを行い、赴任を支援する業務を担当。
パネルトークでは、「どんな時にやりがいを感じるか」「自身の特性をどのように業務に活かしているか」という2つのテーマでお話しくださいました。それぞれの回答を紹介します。
ーQ.1 どんな時にやりがいを感じるか
「海外に届けたいという生産者の方々の思いを理解し、天候などどんなトラブルがあっても届けることが自分たちの使命だという思いで業務にあたっています。だからこそ、お客さまを招いたイベントなどで『いつもありがとう』と言ってもらえたときにはやりがいを感じます」
「お客さまからのご意見をもとに、ラウンジや係員対応の担当者とともに改善の方向性を検討し、道筋が見えたときや、実際に予約やチェックインの手続きがよりスムーズになる、より快適なラウンジになるなど、お客さまにとっての快適さやスムーズさを実現できることにやりがいを感じます」
「日本に赴任してきた外国籍社員が他の社員や部署とのつながりをつくれるようイベントを実施したりしているので『つながりができた』と言ってもらえたり、社内で会ったときに声をかけてもらえたりすると、やりがいを感じます」
ーQ.2 自身の特性をどのように業務に活かしているか
「私は発達障害の診断を受けていて、1つのことにものすごく集中して取り組み、その後はどっと疲れるという特性があります。そのため、1つの業務に集中して取り組んだあとは5〜10分間の休憩時間を設けることで、業務と休憩のメリハリをつけるようにしています。そうすることで効率よく業務を進められています」
「私は聴覚に障害があり、補聴器をつけていますが、自分ができることとできないことを周りにはっきりと伝えることが重要だと感じています。例えば、耳が聞こえづらいことをちゃんと伝えていれば聞き取りやすさに注意して話してもらえますし、電話対応が問題なくできることもあらかじめ伝えておけば、『聴覚障害があるから電話対応はしてもらわないほうがいいかな』などと不要な配慮をしてもらわなくて済みます」
「視覚に障害があるため、その特性を活かして障害のある人がより快適に弊社のサービスを利用できるよう考える仕事をしたいという気持ちもありますし、障害に関係なく様々な業務を担当してみたいという気持ちもあります」
この後、障害のある学生からよく受ける質問とその回答として、人事部の方から次の3点の説明を受けました。
給与や昇進において、障害のない社員と障害のない社員に差はなく、共通の基準で評価している
治療や通院のための休暇制度は設けていない。治療・通院の際はフレックスタイム制度やテレワーク制度を活用してもらっている
勤務にあたり配慮してほしいことなどは、選考プロセスの途中に設けている「サロン」という面談の際にヒアリングし、合理的配慮についての擦り合わせを行っている。
その後は、3つに分かれているグループごとに1人ずつ先輩社員に入ってもらい、先輩社員1名と学生複数名での座談会を2周行いました。学生の皆さんからは「入社の決め手は?」「配慮してほしいことを伝える際の留意点は?」「社会人生活に慣れるまでにどれくらいかかったのか?」「各コース、どんな人が向いているか?」「担当業務でどんな困難に直面したことがあるか?」「業務を進める上で重視していることは何か?」など、様々な質問が挙がっていました。
5. 感想の共有
座談会でプログラムは終了です。最後に、複数の学生が感想を発表しました。その一部を紹介します。
社員の皆さんが和気あいあいと働いていて、風通しの良さを感じました。
働く人に配慮した働きやすい環境を整えているのがJALのカラーだと感じました。空港でJALのスタッフの方々から感じるホスピタリティをオフィスでも感じました。
自分は大学1年生で働くことについて具体的なイメージが持てていなかったけれど、今日見学して会社というものがどういうものか具体的になりました。就活に向けて少し心構えができました。
働き方のモデルにしたいと思える社員の方に出会えました。
自分は健常者と一緒に働きたいと思っていますが、それがオフィスでどのように実現されているかが分かりました。
障害のない人と同じ土俵でいろんな挑戦をしたいと思っています。JALでは個々に応じた働き方があることが分かりましたし、社員の皆さんの雰囲気もよくて、挑戦も協力もし合える場がつくられていると感じました。
