お問い合わせ

障害のある社会人による、新卒就活のしくじり体験談

GATE-C編集部

2023年6月20日、公開インタビュー企画「障害のある社会人による、新卒就活のしくじり体験談」を開催しました。

障害のある学生に向けたイベントや情報発信の取り組み「GATE-C」の一環として開催している本プログラム。新卒就活を経て働いていらっしゃる障害のある社会人の方を迎えて、新卒就活時の反省点や企業選びの注意点などについて伺いました。当日のインタビューの様子をお届けします。

◆語り手 ご紹介

今回、登壇してくださったのは、事務代行を行う企業「リクルートオフィスサポート」で働く障害のある社会人の方です。新卒就活時の経験に加えて、2回の転職と計3社への在籍経験をふまえた企業選びの観点などもお話しいただきます。まずは自己紹介として、これまでのご経歴を教えていただきました。

ーご経歴

  • 社会人歴20年超。3社に勤務経験あり。

  • 1社目:外資系ホテルにて、総務・人事業務を担当。3年強在籍

  • 2社目:人材派遣会社にて、派遣登録スタッフの面談、仕事紹介、入社前研修、入社後のフォローなどを担当。約8年間在籍

  • 3社目(現在):事務代行を行う企業(特例子会社)「リクルートオフィスサポート」の事業部門に約8年間勤務し、人事部に異動。新卒採用業務のリーダーを務めている。


この記事の関連リンク



◆新卒就活のしくじり体験談

続いて、本日のテーマ「新卒就活のしくじり体験談」をお話いただきます。新卒就活時だけでなく、1回目の転職の際も「しくじりがあった」とのこと。それぞれのしくじりポイントと得た教訓は次の2点でした。


ーしくじりポイント(1)
仕事内容やキャリアパスについて十分に調べないまま入社企業を決めてしまった

新卒就活時に重視したのは、「バリアフリーな環境」と「一般事務で働けること」の2点です。とくに、バリアフリーであることは、下肢障害があり車いすを使っている自分が最重要視していた点です。通勤できる範囲にある企業でバリアフリー環境があるところにひたすらエントリーしました。

結果、そこまで苦労せずに外資系ホテルから内定をもらえて、入社することにしましたが、今振り返ると、ここがしくじりポイントでした。というのは、入社した私に求められたのは、「決められた業務を覚えて、毎回適切にこなすこと」で、その内容は3年目になっても、4年目になっても変わらなかったんです。担当業務ができるようなれば、次は少し難度が上がる、あるいは、さらに成長できるような仕事を担当するといったステップアップの機会は存在しませんでした。

入社を決める前に、仕事内容やそこから得られるもの、一定の成長を遂げれば次はどんな仕事に挑戦できるのかといったことを確認できていれば、4年目に辞めずに済んだのではないかと思います。

また、「一般事務」の中身も確認しておけばよかったです。ひとことで「一般事務」といっても、企業によって業務内容は異なります。自分はどんな仕事をしたいのか?それはその会社で叶うのか?などの自己分析や企業研究をしないまま入社し、本当は人とコミュニケーションをとる仕事をしたかったんだということにあとから気づきました。ちゃんと調べ、考えておけば、少なくとも、毎年同じ業務を繰り返すのは嫌だということには気づくことができたと思います。

教訓:「自分は何をしたいのか」「その会社で何ができるのか」「成長した先にどんな仕事に携わることができるのか」などを十分に調べ、考えて入社企業を決めるべき


ーしくじりポイント(2)
転職先を「やりたい仕事ができるかどうか」という観点だけで決めてしまった

社会人4年目で転職活動をした際は、「やりたい仕事=人とコミュニケーションをとる仕事ができるか」という観点で業務内容を十分に調べて転職先を決めました。だから、入社後は業務内容自体にギャップはなかったのですが、働いていく中で心境の変化が起こったんです。

それは、「昇格・昇給といったステップアップをしていきたい」という思いが生まれたことです。当初は役職に就くことまでは考えていなかったのですが、仕事をしていくうちにそう思うようになりました。ただ、会社の制度として、役職者になれるのは勤務地が限定されない総合職だけ。私自身は障害者雇用枠の契約社員として入社していて、途中で勤務地限定正社員に登用してもらえたのですが、そこからさらに総合職にという道は、制度上、障害者雇用枠の社員にはなく、希望は叶いませんでした。

好きな仕事だったのでかなり悩みましたが、役職に就きたいという気持ちは強く、最終的には実現可能な企業(現職)に転職しました。「やりたい仕事ができればいい」だけで入社企業を決めるのではなく、「何年か働いたあとにステップアップできるか」ということまで調べればよかったと思います。

教訓:「やりたい仕事ができるか」だけでなく、「ステップアップできるか/したいか」ということまで調べ、考えることもときには必要



◆質疑応答

しくじり体験を聞いた観覧中の学生の皆さんから質問を募集。学生の皆さんからは積極的に質問が挙がり、抱いている悩みや疑問をぶつける姿が見られました。主な質疑応答を紹介します。


Q. 新卒就活をやり直すなら中長期的な目標を考えることが大切というお話でしたが、どのようにして中長期的な目標を見つけることができましたか?新卒就活の時にできる方法があればご教示願いたいです。

  • 「仕事軸」と「プライベート軸」の両方で考えてみるといいと思います。仕事軸としては、「○年目には一人前になっていたい」「その次の目標として、後輩に教える立場になりたい」など、プライベート軸も「○年後に○○の資格をとりたい/自動車を買いたい」など、具体的な目標を描けるといいと思います。

    私の場合、社会人6〜7年目ごろに趣味のダイビングのライセンスを取得しました。そういったリアルな目標を立てると、ありたい姿やそこに至るための道筋、やるべきことなどが具体的になってくると思います。目標自体は変わっても良くて、立てることが大事だと思います。


Q. 目標ややりたいことを考えていても、希望する仕事に就けないこともあると思います。それでも考えた方がいいですか?

  • 考えた方がいいです。というのは、たとえ希望する仕事に就けなかったとしても、上司や会社が社員のキャリア形成をサポートしてくれる企業であれば、「何をしたいのか」「将来的にどんなことに挑戦したいのか」などを上司や人事に伝えることで、実現に向けてサポートしてもらえるからです。

    例えば、私が今いる会社では半年に1回、「今後どうなりたいか」について上司と話す機会あります。社員1人ひとりの「こういう人になりたい」という目標に対して、「実現するには何が足りていないのか」「その未来像に近づくには何を頑張る必要があるか」などを上司が一緒に考えてくれるんです。そのときに、なりたい自分像ややりたいことを言えないと、何も前に進みません。「日々の業務を着実にこなしたい」「〇〇に挑戦したい」など、内容は自分基準で構わないので、何かしら持っておくのがいいと思います。


Q. 1・2社目と比較して、今の会社の魅力やいいところは何ですか?

  • 自分の目標ややりたいことを聞いてサポートしてくれる先輩や上司がいること、そして、研修制度があることです。どちらも1・2社目にはなかったもので、ステップアップしていきたいと思ったときに学べる研修があるのはすごく大きなことだと感じています。

    あとは、互いに理解し合いながら仕事ができるところです。以前勤めた2社は、障害のない社員が多く、「車いす使っている障害者」と認知してもらえてはいたものの、頑張ればできてしまうことを無理してやって体を痛めてしまうことがありました。今の会社は特例子会社で障害のある社員が多く在籍していることもあり、無理せずサポートし合おうという風土があります。


Q. 社会を見渡すと、「やりたい仕事したいなら配慮が少ない会社で頑張る」「配慮してもらいたいなら業務に制限ある会社で頑張る」のどちらかになりがちで、「やりたい仕事」と「周囲からの配慮」の両方を実現できる企業は多くないと感じています。両方を実現できる企業はどうやって探せばいいですか?

  • 障害者の就職を斡旋しているところに登録・相談して見つけていくのがいいと思います。また、興味のある企業に問合わせをしたり、実際に会社を訪問する機会を作ることにも取り組んでみてください。


Q. 将来的に新規事業を起こしたいので、絶対に総合職で就職したいと思っています。ただ、そうすると無理をしなければならない場面も出てくる気がしています。そういう時はどうすべきでしょうか?

  • 新規事業を起こすことは当社でもできますし、総合職に限った話ではないので、まずは、「どんな会社で新規事業を起こしたいのか?」ということを整理した方がいいと思います。体調を加味しながらやりたい新規事業ができる会社を探すのか、新規事業を起こせるなら多少無理をしてもいいのかなど、何を優先するのかを考え、整理すると、企業選びの観点も整理できてくるように思います。



◆語り手からのメッセージ

最後に、障害のある学生の皆さんへメッセージをいただきました。

  • すでに就職先が決まっている人は、目標をきちんと定めて、入社後実現できるよう行動してほしいなと思います。

    これから就活する人は、後悔のないよう、自己分析をしたり、行きたい企業をひたすら研究したりして、やりたいことができるのか、目標を見つけられるのかなどについてとことん調べ、考えてください。「早く決まってほしい」という気持ちがあるかもしれませんが、「この会社でなら納得して働ける」と思える、後悔のないところまで就活をやりきってほしいと思います。

ホーム開催後レポート

障害のある社会人による、新卒就活のしくじ...