2023年6月18日に、障害のある大学生を対象としたオンラインイベント「障害のある先輩に聞く 障害の向き合い方」を開催しました。本イベントは、GATE-C学生スタッフにより企画、運営が行われました。
プログラム概要
障害のある大学3,4年生が自分の障害とどのように向き合っているのかをパネルトーク形式で知る。
[このイベントのゴール]
先輩それぞれの障害の向き合い方について理解する
自分の障害だったらどう向き合えばいいのかを考える
[参加学生]
障害のある学部生(障害者手帳所持、申請中もしくは申請を考えている方):6名
[登壇者]
障害のある大学生4名(GATE-C学生スタッフ)
[プログラム]
15:00~17:00
オープニング
パネリスト自己紹介、障害について
テーマ①障害を自覚したきっかけ
テーマ②障害に対して工夫していること
テーマ③障害で困る場面とその対処法
応援メッセージ
質疑応答
クロージング
1. オープニング
イベントの概要やこの企画内でのルールを共有しました。
[ルール]
相槌やリアクションで話しやすい雰囲気をスタッフと一緒に作りましょう
間違ってるかもしれないことでも積極的に発言しましょう
参加者が不快になる発言はNG
ここで聞いた他人の情報は口外しない
2.パネリスト自己紹介、障害について
Aさん:生まれつき感音難聴による聴覚障害、障害者手帳所持
Bさん:自閉スペクトラム症(発達)、障害者手帳取得は検討中
Cさん:双極性障害(精神)、障害者手帳所持
Dさん:ADHD衝動型(発達)、障害者手帳所持
3.障害を自覚したきっかけ
Aさん(聴覚障害)
生まれつき障害があったため、それが当たり前として生活していました。生い立ちとしては、新生児検査で聴覚に障害があることが分かりました。幼稚園は聾学校、小学校中学校では特別支援学級に所属していました。高校は通常の高校に通学し、理解のある友人が多かったです。学期に1回聾学校に通級しており、障害に関する講座を受けていました。大学に入ってから、障害を強く自覚するようになりました。
Bさん(自閉スペクトラム症)
中学高校の時から「もしかして」、と思っていましたが受け止めきれておらず、大学のサークルでの失敗をきっかけに自覚しました。その時に発達障害グレーゾーンの本を読んだり、YouTubeで動画を見る中で、自分にも当てはまる点があると思い、受診を決意しました。
Cさん(双極性障害)
高校生の時から体調に異変は感じていましたが、病院に行くほどではないと思っていました。しかし大学3年秋ごろの過密なスケジュールによる疲労で授業に出られなくなったことが障害を自覚したきっかけです。それまでは3年間授業を1コマも休まず通っていたのですが、行きたくなくなってしまったことはとてもショックでした。初診ですぐに診断が出たわけではなく、何回か通院をして診断を受けました。最初はうつ病と診断され、経過を見る中で双極性障害に診断が変わりました。
Dさん(ADHD)
母親からの指摘で自覚しました。しかし、気が付くまでは長かったです。理由としては中学生の時にアスペルガー症候群の診断を受けており、そこからくる症状だと思っていたからです。ずっと何かに対してイライラしたり、落ち込んでしまったり気分の波があり、病院に行こうと思いました。今はアスペルガーの傾向が消えて、ADHDが強くなったみたいです。
4.障害に対して工夫していること
Aさん(聴覚障害)
大学に配慮を申請 入学が決定した時に、支援課の連絡先を探して伝えました。具体的な配慮として、FMマイクの使用をお願いしています。これは、マイクに入った音を通じて、直接私の耳につけている機械に届けてくれるものです。FMマイクを使うことで、まわりがざわざわしても教授が何を話しているのかはっきりと聞き取ることができます。グループワークの時も活用しています。自己紹介をするときに、耳が聞こえにくいが、このマイクがあれば聞き取れるようになる旨を伝えています。
聴覚障害学生サポートブック 聴覚障害のある大学生が学生生活で困る場面の事例などが載っています。高校3年生の時に病院の先生から紹介されて知りました。困った時の対処法や配慮のお願いの仕方などが分かり、心の支えになりました。
誰にでも自分の障害を話す 話さずにいることもできますが、話を聞いていないと勘違いされる可能性があり、お互い気まずくならないために、伝えるようにしています。病院の問診票の自由記述欄のところにも、呼び出しなどが聞こえにくいことを書いています。初対面の人には、耳が聞こえにくい、ということだけ、友人やサークルのメンバーには具体的に伝えるなど、伝える深度を人によって使い分けています。
大学の席 授業が始まる10分前には教室に入り、聞き取りやすい席をとっています。一番前だと周りが何をしているのかが分からなくなってしまうので、前から3,4番目の席がお気に入りです。
Bさん(自閉スペクトラム症)
人間関係においての自分の特性を自己分析すること
話し出すタイミングが合わずに、意図せず話を奪ったりしてしまったり、空気を読めない言動をしてしまったときに振り返りをしました。自分の傾向が分かり、対策が立てられるようになりました。
例)聴覚からの情報処理が苦手なので、紙に書き出して頭を整理して動くようにする
苦手なことが分かれば、社会人にどのような場面で影響が出るか想像しやすくなると思います。
大学のカウンセリングを利用
LINEのオープンチャット
ASD関連のコミュニティに入って、悩みを打ち明けると、共感してもらえて心の支えになりました。
Cさん(双極性障害)
1年間休学経験
大学は4年で卒業するものだと思っていたので、とても勇気のいる決断でした。もともと○○であるべき、という考えに固執してこれまで行動、選択してきたので、それから脱却する良い機会でした。 春頃は休養に専念してとにかく寝ていました。スケジュール管理
発症原因が、過密なスケジュールだと思ってたので、同じことの繰り返しにならないように、就活も余裕を持って取り組んでいます。週に1日は何もない日をつくって休息をとれるようにしています。就寝環境を整える
躁状態の時に寝られない症状があり、それに対処するために寝る前にカフェインを避けたり、眠れなくても布団には入るようにしていました。 寝ることはとても大事で、鬱の時に動けないときもとにかく睡眠をとっています。
Dさん(ADHD)
自分の取扱説明書を作る
就活で配慮事項を考える際にキャリアセンターに教えてもらいました。まずは、思いついたことを紙に書き出しました。疲れやすいので早めに寝ます、怒りやすいです、など。それをキャリアセンターの人にジャンル分けしてもらい、それを纏めて、特性・自分で対処していること・配慮事項の3つができました。
→就職フォーラムなどで参考資料として企業の人に渡せて便利でした。大学にも必要な部署には渡しており、授業でも配慮を受けています。親も気になっていたので親にも渡しました(笑)
(アスペルガーに関して)手探り
特性の影響で人間関係にひびが入り、いじめの対象になったことがありました。それを解決するために、クラスの人気者がどのような行動をしているのかを見て、それがどのように人を引き付けているのかを分析し、真似していました。
5.障害で困る場面とその対処法
Aさん(聴覚障害)
周囲の環境によって聞こえが大きく変わること 同じ声量でも、静かな部屋と電車の中では聞き取りやすさが全く違います。左耳の方が聞こえやすいので、自分の左側に立ってもらったり、FMマイクを使用しています。教育実習の打ち上げの飲み会などのプライベートでも使っています。
一目ではわからない点 良くもあり悪くもありなところです。なので自分から話すようにしています。でも、これができるようになったのは大学3年生の時からで(現在4年生)、今も試行錯誤しています。高校までは、母親や通級学級の先生が自分の代わりに障害を伝えてくれており、すでに相手は障害を知っている状態がほとんどでした。しかし、大学では自分から言わないと支援してくれる人はいないので大変でした。伝え方も今は工夫をしていて、「聞こえない」というあいまいな表現ではなく、「聞こえないけれども、こういう場面だと聞き取れます、でもこれはできません」と伝えるようにしています。
Bさん(自閉スペクトラム症)
対人関係で意図せず迷惑をかけてしまう
物事に素早く反応することが苦手
回転寿司のアルバイトでこの特性に気が付きました。それを就職活動でどのような配慮を求めるか、自分ではどのような工夫をするかを考えるための材料にしています。 この二つは、配慮事項を作って理解をお願いするしかないのかな、と今は思っています。話を盛り上げるのが苦手
自分の話ばかりしてしまい、相手が引いてしまうことがあります。話すときは相手に主導権を渡して、相手が話し終わったタイミングで話すようにしています。聴覚過敏
耳栓を持ち歩いていて、苦手な音がするとき、ざわざわしていろんな音が聞こえて辛い時に使っています。
Cさん(双極性障害)
(躁状態)
喋りすぎてしまう
→躁の自覚があるときは、極力人と話さない様にして、人に不快感を与えないようにしていました。
予定を入れすぎてしまう
→週に1回は何もない日を作る、というルールのもとスケジュール管理をするようにしています。
(うつ状態)
過眠・憂鬱感
投薬でコントロールしています。しかし、お薬に頼りすぎないように、鬱以外の時期にジムに行ってリフレッシュしたり、日常生活の中でストレス発散をしてため込まないようにしています。今服薬しているお薬の前に飲んでいたものは、体に合わず、副作用で逆に体調が悪くなる、などの経験もしたので、きちんと医師と相談することが大事ですね。
友人に相談もしています。直接連絡するのは気が引けるので、インスタグラムのストーリーなどにTwitter感覚で投稿して自分の気持ちをアウトプットしたり、近況報告をしています。
Dさん(ADHD)
不快になるとすぐ怒ってしまう
服薬で落ち着くようになりました
大学のカウンセリングも利用しています。「このようなことで怒ってしまって…」と相談し、なぜ怒ってしまったのかをカウンセリングの先生と一緒に考えて振り返るようにしています。気持ちの整理ができていないと怒ってしまうことが分かりました。主治医によると、障害によって服薬が必要なのか、カウンセリングが必要なのかが変わるらしいです。私の場合は服薬も必要だったため、その選択をとりました。また、アスペルガーのときからカウンセリングは受けていて、その時から一人で感情の整理をすることが難しかった自覚があります。なので、大学に入ってからも高い学費を払っているので、サービスを使いこなそうと思い、カウンセリングを受けています(笑)落ち込みの波がある
就活などで落ち込むときがあります。これも服薬で対処したり、行きつけの喫茶店のマスターに相談したり気晴らしをしています。
6.応援メッセージ
Aさん(聴覚障害)
頼れる大人がいると安心
家族と中高の先生など、与えられた環境の頼れる人だけではなく、自分を気にかけてくれる人、支援してくれる人を自発的に見つけられるとよいと思います。私の場合は、キャリアセンターの方が頼れる大人だなと思います。障害者雇用に詳しく、いろんなことで頼れました。人に頼ること
頼ることは甘え、大人として一人前ではないと思いがちだけれども、大人だからこそうまく頼れるのではないかと思います。ストレスが積もって爆発する前に発散することが大切です。悪い大人には注意
上京するときに、「東京の人は簡単に信用するな」と言われていました。大学の職員さんなど、お医者さんなど肩書がきちんとしているかどうかが悪い大人か見分けるポイントかなと思います。
Bさん(自閉スペクトラム症)
理解してくれる仲間はいる
大学の支援やインターネット上の当事者のコミュニティなどを活用して、居場所を見つけてみてください。誰かに寄り添える強みがある
世間から弾かれたり、つらい経験があるからこそ、誰かに寄り添える強みがあると思います。
Cさん(双極性障害)
好きなものを見つける
何か大変なことがあっても、これがあれば大丈夫、という心の支えになるものがあると楽になると思います。泣いてもOK
泣かない、めげないのが大人と思っていたけれども、周りの友人や社会人と話していると、意外と完璧な人はそこまでいないと感じました。自分を押し殺してまで完璧でいる必要はないのかなと思います。人に話す
私の場合は「書く」よりも「話す」が効果的でした。もし話す人がいなければ私でもいいので、誰かに話してみてください。
Dさん(ADHD)
困ったら周りに相談
一人で乗り越えることも大切かもしれませんが、教授やカウンセリングの先生、親、友達など、周りの人に相談してみてください言語化
言葉にすると悩んでいることが見えてきます。モヤモヤしているとずっと悩んでしまうので、図にして何に困っているのか言語化すると人に話しやすくなりました。落ち着ける場所/セーブポイント
私で言う喫茶店など、嫌なことがあったら駆け込むところがあると、いいんじゃないかなと思います。羽を伸ばせる場所がおすすめです。そういうところだと落ち着いて考えられる気がします。
7.質疑応答
Q.障害者枠で採用を受けるメリットとデメリットはどのような点がありますか?
Aさん:
あくまで私の経験ですが、メリットは人から見えない障害でもきちんと配慮をしてもらえることだと思います。安心感があります。デメリットは企業によって待遇が違うときがあることかなと思います。
Cさん:
一般論として、障害者枠のメリットは、Aさんがおっしゃる通り、配慮をしっかり受けられる安心感がある点が挙げられます。面接でもどのような配慮を希望するのか時間をとってすり合わせをする時間がある企業が体感的に多いです。デメリットは、職種が限られているのと、待遇の違いです。待遇はAさんがおっしゃっていた通りです。職種に関しては、事務職が障害者枠だと多いと言われています。そのため、自分のやりたいこととうまく合わないことも実際に私は経験しています。
Bさん:
質問の回答にはならないかもしれませんが、キャリアセンターの人に相談して、この障害だとこの仕事ができそうだね、と考えるのも良いと思います。
Q.障害のことを人にどれくらい打ち明けていますか?話そうとすると暗い雰囲気になってしまい、話しにくいのですが、隠しているのもモヤモヤします。
Bさん:
私も外見から障害があるとはわからないので、打ち明けたらどんな偏見を受けるかが不安で、いいにくいという点、とてもわかります。
Aさん:
打ち明けずになあなあになった経験があります。なので、最初に会ったタイミングで言うようにしています。あとから切り出して話すのは私には難しかったのと、もし伝えて微妙な反応をされたら、そういう人なんだな、と流せました。現時点で関係性ができている人には無理して伝える必要はないと思います。障害の影響で困っているのであれば言ってもよいと思いますが、そうでない限りは言わなくていいんじゃないかなと。障害をオープンにすることが善で、隠すことが悪という印象を持ちがちですが、絶対に言わなくてはいけないものでもないと思います。あとは伝え方を工夫しています。○○できない、ではなく、○○すればできる、とプラスで伝えると空気が重くなりにくいかなと思います。
Dさん:
私は信用できる人には言っています。特性の影響で迷惑をかけた友達にも打ち明けました。秘密と同じで、誰にでも言うものでもないと思います。
Cさん:
初めましての人にいきなり相談は難しいと思うので、まずは、障害を知っている人に、そのモヤモヤを伝えるのはどうでしょうか。ちなみに、私に障害があるのを知っているのは、GATE-C以外だと地球上に10人もいません。
8.クロージング
目標が達成できたか、今日新たに気が付いたこと・学んだことをチャットに書き込む
(参加者が学んだこと・気が付いたこと)
心のよりどころを確保すること、話せそうな人に相談することを意識してみたいです。
人それぞれ抱えている障害が異なり、困っていることも同じ障害でも違うということを認識できました。
障害の内容は違えど、同じようなことで悩んでいて、「一人じゃない」と思えて心強いなと思いました。
人と話すときに相手にゆだねる対処方法を学ぶことができました。
参加者の声(アンケートより)
障害に関する困りごとへの対処の仕方を学ぶことができました。ネットや本では知り得なかった同年代のリアルな対処法を知れて、とても勉強になりました。
ストレスの軽減方法などとても参考になりました。他の方が理解しやすいような取説を作ってみます。
皆さんの意見を聞けて参考になりました。何ができるかをプラスで伝えるとよい、など具体的で分かりやすかったです。
困った時の対処法に限らず、自分と同じ特性を持った人もいたので、話が分かりやすかった。
どの話も自分の障害に近い話で参考になりました。
自分と同じ悩みを抱えている人がいることを知ることができました。
【PR】以下の記事にはプロモーションが含まれます。
