2023年6月10日に、障害のある大学生を対象としたイベント「障害のある先輩に聞く 大学生トーク」を開催しました。本イベントは、GATE-C学生スタッフにより企画、運営が行われました。スタッフも参加学生もハンドルネームで参加をしました。
◇プログラム概要
障害を持つ大学3、4年生が、障害を持ちながらどのようにして大学1-2年生を過ごしたのか、そして現在の生活を過ごしているのかを知る。そして2つの目標達成をゴールにする。
◇目標
①新生活への不安を先輩たちの事例を見て解消する
②自分がチャレンジしたいことに対して一歩踏み出せるようになる
◇プログラム
15:00~17:00(終了後に希望者のみの交流のための時間を設けました)
1.オープニング
イベントの概要やこの企画内でのルールを共有しました。
ルール
相槌やリアクションで話しやすい雰囲気をスタッフと一緒に作りましょう
間違ってるかもしれないことでも積極的に発言しましょう
参加者が不快になる発言はNG
ここで聞いた他人の情報は口外しない
質疑応答時の注意事項
プライバシーのない質問は禁止だが、なんでも質問してOK
障害について触れにくいと感じても、この場では聞いてOK
登壇者の自己紹介
Aさん:感音難聴による聴覚障害(両耳とも100db以上)
Bさん:自閉スペクトラム症(発達)
Cさん:双極性障害(精神)
Dさん:ADHD(衝動型)
2.Aさん(聴覚障害)の大学生活の過ごし方
①1日の過ごし方(オンライン授業の日)
0:00-8:00 睡眠
8:00-9:00 朝食、支度
9:00-12:00 オンライン授業(オンデマンド)
12:00-14:00 昼食、教習所
14:00-15:00 移動、休憩
15:00-17:00 オンライン授業
17:00-21:00 塾バイト
21:00-0:00 夕食、自由時間
②工夫していたこと
◇オンライン授業
履修登録が始まる前後で学生課に配慮内容を伝える。
オンライン授業だと音声が聞き取りにくいと大きな影響が出る。クリアに音声が入るようにお願いをした。
課題のリマインダーを利用。
課題の出し忘れの経験から、携帯のアプリで管理。
◇対面授業
聞こえやすい席を確保
授業開始の10分前に教室に移動し、前から3,4列目に座っていた。一番前だと周りが何をしているかわからないときがあるため、すこし後ろの方で周囲の様子を確認できるように工夫していた。
FMマイクの活用
FMマイクを教授につけてもらうことで、話している音声が耳につけている機械に直接届き、クリアに聞こえる。グループワークで教室内でほかのグループの学生も話しているときも活用。
iPadでレジュメを管理
GoodNoteというアプリでレジュメをダウンロード。すぐに振り返りができる。授業に行くときもiPadとApplePencilだけでいいので身軽
◇教習所
8月から11月の閑散期に通った。
授業の空いている時間を利用して平日に通うことで予約が取りやすい。
◇教職課程
1年生秋学期から履修。1年から3年まではフル単だが、4年からはゆとりのある時間割。
③やってよかったこと
◇学校以外のコミュニティを持つ
メリット
学外組織での活動、GATE-Cのスタッフなど。学校でうまくいかないとき、友達を作りにくい時も、学外のコミュニティがあれば支えになる。
不安だったこと
①学校と両立ができるかどうか
→学業第一の風潮のある団体を選ぶ
②障害を理解してもらえるか
→自己紹介の段階で障害を伝える。「聞こえにくいが、FMマイク等を活用したら聞こえやすくなる」とポジティブに伝えることを意識。
3.Bさん(自閉スペクトラム症)の大学生活の過ごし方
①1日の過ごし方
0:00-6:45 睡眠
6:45-8:15 朝の準備
8:15-10:30 通学兼仮眠(通勤電車の中で仮眠)
10:30-16:15 授業
16:30-20:00 サークル(演劇サークルで体を動かせた)
20:00-22:30 帰宅、課題(電車の中で課題をこなすことも)
22:30-24:00 夕食、風呂
②工夫していたこと/苦労したこと
◇授業
毎回出るように。たまに居眠りしてしまうときもあった。
不確実な未来を嫌う傾向があるため、課題は余裕を持って進めた。
◇個別指導塾のアルバイト
生徒の声が聞こえにくいなど苦戦していた。まさか障害と関係するとは思ってもみなかった。
物忘れをして怒られたこともあった。
◇飲食のアルバイト(現在も取り組んでいる)
裏方の仕事があっていると感じる。
スピード感が求められる仕事は苦手。
◇教習所
反射神経に自信がないため通わない。
③やってよかったこと
◇大学の支援機関などをあらかじめ調べる
なにかあったときにすぐ連絡ができ、問題をこじらせずに済んだ。
◇Linkedin(社会人が主に利用するSNS)の活用
大学のキャリアセンターから教えてもらったSNS。意識の高い社会人と話すことで、自分のキャリア、障害など自分自身を知ることができた。
④思うようにいかなかったこと
◇演劇サークルの公演
公演ができずに頓挫
臨機応変な対応やコミュニケーションがうまくできなかった。しかし、障害を考えるきっかけにもなり、チャレンジしたこと自体は後悔していない。また、あらたに別の演劇サークルに入る予定。
4.質疑応答
①Bさんに質問「新しい演劇サークルに入るとのことですが、3年生からでも入れるのでしょうか?」
回答:3年生からでも入れるところを探しました。
②Aさん、Bさんに質問
「忙しい中で、どうやって学業と両立させたのでしょうか?」
Aさん回答:
お見せした1日のスケジュールは忙しい1日を抽出したものなので、あれが毎日続いているわけではないです。しかし、1年生の秋ごろは教職、教習所、アルバイトでとても忙しかったです。この反省を生かし、今はキャパシティーを減らすようにしました。サークルは、毎週のミーティング参加が必須ではないところを選んだり、業務量を調整するようにお願いしました。平日は学業中心、土日はそれ以外、とメリハリをつけて過ごしていました。3年生の時はエントリーシートを考えるなどを授業の合間にしていました。
Bさん回答:
サークルは、公演前は忙しく、そうでないときは時間がありました。暇な時にはしっかりと睡眠をとったり、アルバイトを頑張っていました。現在は、就職活動を授業や課題の合間で週4回ほど行っています。
5.Cさん(双極性障害)の大学生活の過ごし方
①1日の過ごし方
0:00-8:00 睡眠
8:00-8:40 朝の準備
朝が苦手なのでぎりぎりまで寝る。
その代わりに、前日の夜までにできる準備は済ませておく。
8:50-17:50 授業
18:00-20:30 サークル
20:40-22:30 夕食、お風呂
22:30-0:00 勉強
②工夫したこと
障害に特化というよりかは、自分が過ごしやすい環境を作ろうとしていた。
◇授業
なるべく前の方の席に座る
まわりの話し声などが気になってしまうので、授業に集中できるように前の方に。
ToDoアプリの活用
最初はうまく使いこなせなかったが、いつも使っているGoogleカレンダーのアプリと連動するTodoアプリを使うことで、スケジュールの確認をしながらタスク管理もできた。締め切りは絶対守ることを意識していた。
わからないことはその場で聞く
あとでやろうはやらないので、その場で教授に聞いたりして解決する。
◇サークル
きつすぎないがポイント
①飲み会がない
②参加確認が緩い
③学内で活動が完結、移動がない
◇アルバイト
5つ経験
学業と両立できるかが不安だったため、面接時にテスト前は休みたい旨を必ず伝えた。
◇教習所
生協から申し込み
予約が優先的に取れたり割引があったので、生協のチェックをおすすめ。
③やってよかったこと
◇気になったことはどんどんやってみる
不安はなかった
失敗したとしてもまだ大学生。それを踏まえて成長できればいいと考えていた。自分の好奇心を大切にしたかった。
気になることを見つける方法
自分の「好き」の延長で考えてみる。私の場合は100円ショップが好きだったので、そこのアルバイトが初めてのアルバイト。オープンキャンパスのスタッフも大学が好きだからやってみた。
④失敗したこと
◇サークル選び
サークル費
サークル費がかかるか確認せずに入ってしまった。しかもお金の使う先が不明。入る前に確認すればよかった。
スケジュール管理
(平日)フルコマ+サークル掛け持ち×(土日)フルタイムでアルバイト。休みの日が1日もない日々が続き、体調を崩す。週に1日は休める日を作ればよかった。
⑤その他
◇休学
体調を崩し、障害の発症から休学の決断。
教授に体調のことを相談すると、休学したら?と、とてもフランクに言われて驚く。
デメリット(教授曰く)
休学費がかかる、のみ。意外と5年以上かけて卒業している人もいるし、4年で卒業する、が正義ではない。お金の面で、工面ができるか、保護者/自分のお財布と相談することが大切。
メリット
しっかり休める。まだ私は人と話せる状態で、早く休めばちゃんと治るよ!と、教授に勇気づけられ、休学を決意。
結果
体調も安定し、現在は復学して、今も”普通に”大学に通っています。
◇この経験から伝えたいこと
自分の気持ちを振り返る
このごはんおいしかったな、今日は天気が良くて気分が良かったな、など、自分の感情を大切にしてほしい。それが失われると○○しなければならない、に縛られるようになってしまった。反面教師にしてほしい。
6.Dさん(ADHD)の大学生活の過ごし方
①1日の過ごし方
23:00-8:00 睡眠
8:00-17:00 授業、課題、家事
(ほとんどがオンデマンド型で決まった時間になにかする習慣がなかった)
17:00-20:00 買い物付き添い、課題の量を家族に愚痴る
20:00-23:00 談話、自由時間
②工夫したこと
◇授業
1年生のとき
出席代わりの大量の課題に追われ工夫ができず。
2年生以降
シラバスを熟読
授業レビューを参考にする
1週間のやることを計画し、それを基に1日でやることを細分化して取り組んだ
情報処理が苦手だとわかってから、カウンセラーに日めくりカレンダーを勧められ、導入。やることを漏らさず実行できるようになった。日めくりカレンダーの余白に、1日の予定(何時から何時まで何をやるか)を書いている。
③やってよかったこと
◇スケジュール帳で先の予定を見通したこと
課題の管理につながる。
◇大学内のサービス利用
授業料を払っているんだから使い倒そう
カウンセリングルーム、キャリアセンターからアドバイスをもらった。
◇大学の周りの人と情報共有
障害について伝える。
履修の相談。
◇いろんな場所に行き、出会いの機会を多く持つこと
喫茶店のマスターや常連さんと仲良くなり、就活で落ち込んでいても励まされる。
④失敗したこと
◇オンデマンド授業
課題をこなすだけの日々でストレスがたまり、立ち直れなかったこと。高校の信頼している先生などに相談すればよかった。
やることがたまってしまい、ストレスになった。
◇ブラックバイト
労働環境が悪い中働き続けてしまった。周りの意見を聞いて、もっと早くやめればよかった。
7.質疑応答
◇Dさんに質問
①「2020年入学で、オンライン授業だったため、1年生から友達を作るのが難しかったです。どうやってそのなかで友達を作ったのでしょうか?」
回答:つくろうと意識していませんでした。オンライン授業のグループワークでしゃべりにくい雰囲気の中、率先して話を盛り上げようとしていて、その結果、顔は知らないが名前は知ってる、という人が増えたように思います。積極的に動くことが大事ですね。
②「喫茶店に行くきっかけは何だったのでしょうか。」
回答:大学の近くをふらふら歩いていて楽しそうだったから入りました。行き当たりばったりで過ごしています(笑)
③「ブラックバイトにどのようにして行き着いたのか。」
回答:大学から紹介されました。だから違和感を感じても、やめにくさがありました。大学から紹介のバイトでも気を付けることが大事ですね。
◇Cさんに質問
①「いままでやったバイトの中で一番良かったのは何ですか?」
回答:家電量販店でのアルバイトですかね。理由は、能動的に動く大切さを知れたり、手を上げれば挑戦ができる環境だったからです。あとは給与がよかった(笑)でも、最初に初めた100円ショップのアルバイトも好きを仕事にできてよかったです。単純作業の業務だったため、気持ちが落ち込んでいてもなんとか取り組めました。
②「鬱期はどのように過ごしているのか。スケジュールをどのように回していたのか。」
回答:障害自覚前は鬱も無視して何とかバイトも学業も全力で取り組んでいました。でもこれで体調を崩したので、今だったら、きちんと休む。体が睡眠を必要としているなら寝ていいと思います。
③「つかれて動けないときからどう立ち直ったのですか。」
回答:寝ることと時間が経つのを待つしかなかったですね…
④「気分の浮き沈みのときに、どのように対処している?」
回答:躁状態の時はお金を使いすぎてしまう、眠れなくなる、イライラする、などの症状があります。前の二つは自分の中で解決する問題ですが、イライラに関しては人にもイライラしてしまうんです。なので、それで人間関係が悪化しないように、友人との連絡を控えるようにしています。鬱状態の時はなにをしてもネガティブなので、寝るに尽きます(笑)
(上記を受けて、Dさんの意見):寝てばっかりの時、私は親に電話するなど、誰かに相談しています。病んでいる時こそ人の力は大事だと思います。
8.参加学生の感想
鬱の時こそ、誰かに相談しなければとハッとしました。
時に身を任せることも場合によっては有効だと学びました。
やらなければいけないこともあるが、無理をしすぎないことが大事だとわかりました。
皆、挫折を経験し、今があるとわかりました。活躍している人も失敗をたくさん経験していると、勇気をもらいました。
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