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社会全体のダイバーシティ&インクルージョン実現に向けて

GATE-C編集部

2023年6月9日、「社会全体のダイバーシティ&インクルージョン実現に向けて」をテーマとして、パネルトーク企画を実施しました。

ソニーグループ株式会社、日本航空株式会社の2社を迎え、障害のある人に対して提供している製品やサービスについて、また、それらの製品やサービスを通じて実現したい社会について伺いました。


<参加社会人>
企業でダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けた取り組みを担当している社会人:3名
※ソニーグループ株式会社:1名、日本航空株式会社:2名





◆オープニング(10分)

オープニングでは、プログラムに参加するにあたり大事にしてほしいこととして、次の3点を事務局から参加学生の皆さんに伝えました。

  • 企業の社員や参加学生の話を聞き、さまざまな考え方や選択肢があることを知った上で、「自分はどうしたいか?」と考えるきっかけにしてほしい。参加社会人の意見だけでなく、参加学生の意見も「いろいろある考え方」の一つとして同じように受け止めてほしい。

  • 積極的に発言を聞くことと、勇気を出して発言することに取り組もう。言葉にすることで、自分の考えがクリアになっていく。

  • 「正しいこと」を自由に言える雰囲気を超えて、「もしかしたら間違っているかもしれない」と思うことも自由に言い合える雰囲気を目指そう。自分が知りたいことは、多くの場合ほかの人も知りたいことだから。



◆パネルトーク(75分)

続いて、企業2社を迎えてのパネルトークです。
ソニーグループから1名、日本航空から2名の社員の方にご登壇いただき、ダイバーシティ&インクルージョンに関連した4つの質問に答えていただきました。
2社ともに現況をありのままに話してくださり、学生の皆さんには真剣に聞く様子が見られました。2社の回答を紹介します。


◆質問

  1. 障害のある方に対して提供している「製品・サービス・テクノロジー」にはどのようなものがあるか?

  2. 自社の取り組みの先に実現したい社会(あるべき姿)とは?

  3. 実現したい社会(あるべき姿)に対する、自社の取り組みを評価するならば、「◎・○・△・×」のどれにあてはまるか?また、その理由は?

  4. あるべき姿を実現するための協働者として、障害のある学生に期待したいこと・伝えたいこととは?



Q.障害のある方に対して提供している「製品・サービス・テクノロジー」にはどのようなものがあるか?

◆日本航空

「誰もが旅を通じて、より豊かな人生を楽しめる社会の実現」を目指す社会の姿とし、障がいの有無にかかわらず誰もが好きなときに好きな場所に行ける体制をつくるべく、「社員教育」「環境整備」「情報発信」「アクセシブルツーリズム」の4つを柱にしてアクセシビリティの取り組みを行っています。具体的には、次の取り組みをこれまでに行ってきました。

  • 社員教育:社員一人ひとりの心のバリアフリーを醸成・実現するための教育を実施

  • 環境整備:誰もが快適で移動しやすい環境を国土交通省や空港ビルなどと連携して整備保安検査場の金属探知機に反応しない木製車いすの空港内への配備筆談ボードや音声がよりクリアに聞こえるスピーカー「ミライスピーカー」の空港カウンターへの設置点字・拡大文字・音声コードつき機内サービスガイドの配備ローカウンターなどを設置した「スペシャルアシスタンスカウンター」の空港内への配備 など

  • 情報発信:お手伝いを希望されるお客さま向けの特設サイトをホームページに設け、お困りごとに応じて必要な手続きや受ける案内などの情報を発信

  • アクセシブルツーリズム:バリアフリーなツアーパッケージなどを制作発達障がいのあるお客さまを対象に、空港体験プログラムを受けた上でツアーに行く「秋のアクセシブルツアーin山形」専用の車いすに乗って海を楽しめる「ファミリーで行く 車いすde感じるハワイ」 など


◆ソニーグループ

ソニーグループは「アクセシビリティ」という言葉が広く世の中で言われるようになる前から、誰もがソニーの製品・サービスを同じように使って楽しんでいただけるよう開発に取り組んできました。例えば、次のような製品・機能・サービスなどを過去から近年にかけて開発してきました。

  • 過去には、リモコンなどにおいて、操作ボタンを押した際の音(ビープ音)をボタンの種類・機能に応じて変え、ビープ音を聞けばどのような操作をしたかわかるように設計

  • 近年では、ゲームソフトに、アクセシビリティ機能として文字や画面の色を反転させる機能を搭載

  • ゲームコントローラー自体をアクセシブルな形状で開発したり、プレイヤー自身で操作ボタンの位置を自由に変更できる機能などをゲームソフト会社と連携

  • ロービジョンとよばれる目の不自由な方々が「レンズを通してカメラで撮影する」ということができるよう、網膜に光を当てることで画像が写って見えるカメラを共同開発

  • お客さまのご希望に応じて様々な手段で問い合わせができるよう、相談窓口のチャネルを電話、チャットなど6種類用意

また、2025年度までに原則全ての商品・サービスを障害のある人や高齢者に配慮した仕様にすること、そのために、商品の企画・開発段階から障害のある方々に参加してもらい意見を取り入れる「インクルーシブデザイン」の手法で開発を行うことを決定しています。



Q.自社の取り組みの先に実現したい社会(あるべき姿)とは?

◆ソニーグループ

ソニーグループでは、テクノロジー/社員一人ひとりの思い/製品/サービスを通して、誰も取り残されることなく、誰しもが楽しみ、感動することのできる社会の実現を目指しています。


◆日本航空

先述したとおり、誰もが旅を通じて、より豊かな人生を楽しめる社会の実現を目指しています。
障がいの有無にかかわらずどのようなお客さまも、好きなときに、我々のサポートなしでも行きたい場所に行けるような環境や社会をつくっていきたい。
その体制を我々が整えていかなければならないという考えでアクセシビリティの向上に取り組んでいます。



Q.実現したい社会(あるべき姿)に対する、自社の取り組みを評価するならば、「◎・○・△・×」のどれにあてはまるか?また、その理由は?

◆日本航空

自信を持って「◎」と言いたいところですが、取り組まなければならないことがまだまだたくさんあるのが正直なところです。

例えば、空港内で木製車いすを利用していただくにあたり、お客さまの電動車いすなどをお預かりすることになりますが、電動の場合バッテリーが危険物に該当するため、安全確認に時間を要してお客さまにご迷惑をおかけしてしまっている現状があります。円滑にお預かりするための方法など、まだクリアできてないミッションがたくさんあります。毎年現場の課題を洗い出しながら、解決するためのサービスや手続き、フローを検討しています。


◆ソニーグループ

切り口や基準次第で「×」でもあり、「◎」でもあるのではないかと思います。私個人の主観を話すと、「×」です。それは、できているべきことがすべてできている状態を「◎」とするならば、まだすべてはできてないからです。ただ、先ほど話したとおり、できていることもたくさんあるので、それらを積み上げることで「○」に近づけているのではないかと思います。



Q.あるべき姿を実現するための協働者として、障害のある学生に期待したいこと・伝えたいこととは?

◆ソニーグループ

世の中を変えていくには、若い世代の皆さんが新しい意見をどんどん出していくことが必要なので、「言ってはいけないんじゃないか」「聞いてはいけないんじゃないか」「きっとできないよね」などと思わずに、声を挙げていただきたいと思います。


◆日本航空

ソニーグループさんのおっしゃるとおりで、お客さまの声は貴重です。自分が今、お客さまの声を収集してサービスに反映する部署で働いているのでなおさらそう思います。

また、障がい当事者の一人として思うのは、障がい者として生活をしていると「ここ不便だな」と感じる場面が多々あるということです。そこって、意外とほかの人が気づいていないことだったりするので、ぜひそういった不便さや違和感を共有していただけると、障がいを生み出すようなバリアがなくなっていって、最終的には障がいの有無にかかわらず快適に生活できる環境ができていくと思います。 空港や機内でそういったところを発見した際は、ぜひ我々にご意見をお寄せください。一緒に過ごしやすい機内環境や空港での過ごし方をつくり上げていければと思っています。



さらに、2社の回答を受けて出てきた事務局や参加学生の皆さんからの質問にも答えていただきました。主なやりとりを2つ紹介します。

Q.障害のある人を考慮して製品やサービスを開発しようとするとコストがかかり、企業としての利益追求と相反する場合も多いように思う。この点をどのように考えているか?

◆ソニーグループ

私たちは、事業を通じてどんな人にも感動を与えたいと思っているので、製品やサービスの開発において障害のある人を考慮するのは当たり前のこととして取り組んでいます。そのために必要な費用をいわゆる「コスト」と捉えるならば、確かにコストはかかるのかもしれませんが、そのコストは障がいのある方々だけにかかるものではなく、広く感動を届けるためのものです。つまり、障害の有無や属性を問わず、コストは誰にでも生じるもので、社会生活を送る上で必要なものだと考えます。社会や企業にも、この考え方がどんどん浸透してきているのではないかと感じています。


◆日本航空

障がいのある方のためというより、すべての方に対する施策を考える中で取り組んでいることなので、コストという捉え方はしていません。

障がいのある方々からは、「係員に余計に手間をかけさせているのではないか」「時間をとらせてしまっているのではないか」などのお気遣いをいただくことが多いですが、我々が環境整備をしていく中で、そういった不安を解消し、それが手続きの円滑化にもつながれば、お客さまも私たちもwin-winとなります。定時運航を守ったり、お客さまに素敵なサービスを提供したりすることを目指していく中で、お客さまの観点でも、CX/EXの観点でも当たり前に取り組むことと捉えています。



Q.大きな企業ほど多様な人・考え方が存在すると思う。その中で皆が同じ方向を向くためにどんな工夫や取り組みをしているか?

◆日本航空

我々は、「アクセシビリティに関するサービスポリシー」というものを設定しています。アクセシビリティ向上に向けた取り組みを進めていく上で迷ったときは、この「アクセシビリティに関するサービスポリシー」と、日本航空グループのサービスや商品に携わる全員がもつべき意識・価値観・考え方として策定している「JALフィロソフィ」に立ち返って考えることで、同じ方向を向けるようにしています。

また、客室乗務員、地上係員、間接部門社員など、社内の各部署を横断してアクセシビリティについて話し合う場を定期的に設けていて、そこでコンセンサスをとるようにもしています。


◆ソニーグループ

多様な考え方があるからいいと思っています。人数が多い会社だからこそ、多様な視点や意見があり、それぞれが交錯することで新しい価値が生まれると考えています。ソニーグループでは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをPurpose(存在意義)として掲げ、社員と共有しています。今ではソニーはこのPurposeを企業文化として定着させつつあり、これは長期的な企業価値の向上に直結するものだと考えています。

また、規模の大きな会社だからこそできることとして、民意を反映したり、多くの人が思っていることを声に出して意見する人がいることが挙げられます。さらに、多様な意見を取り入れ、新たな商品やサービスを生み出し、より多くの人に届けることができることも、大きな会社の強みではないかと思います。



他にも、次の質問が参加学生の皆さんから挙がりました。

  • 2社のように、「誰もが利用できる製品・サービスを」という考えで事業に取り組む企業はそう多くないと感じている。企業によって意識に差があることをどのように捉えているか?

  • 知的障害や発達障害、精神障害のある人向けにはどのようなサービス・製品があるか?

  • 障害のない人たちの理解を進める・つくりだすために取り組んでいることはあるか?



◆質疑応答(10分)

続いて、1社ごとにブレイクアウトルームに分かれ、質疑応答を行いました。
学生の皆さんからは積極的に質問が起こり、社員の方々が一つずつ丁寧にこたえてくださいました。質問の一部を紹介します。

  • ダイバーシティの取り組みとして、外国籍の人や異文化の人に向けてはどのようなサービスを行っているか?

  • コロナ禍によって働き方や事業において改善されたことや変化したことは何か?

  • 目に見えない障害、具体的には、精神障害や発達障害のある人を理解する際には、どのようなマインドで理解しようとしているか?



◆クロージング(15分)

最後に、学生の皆さんが今日の気づきや感想をチャットに記入・共有して終了です。終了後には、希望者を対象に学生同士がコミュニケーションをとる時間を設けました。

プログラム終了後にいただいた、参加学生の声は次のとおりです。



◆参加学生の声

  • ダイバーシティー&インクルージョンに向けて取り組まれる企業の方の情熱に感動いたしました。より良い社会に向けて声を上げていきたいです。

  • 精神・発達の障害だからと無自覚に自分で自分を差別していることに気付かされた。

  • ダイバーシティの浸透はまだ始まったばかりで、全ての人とって使いやすい製品・サービスは今後私たちが作っていきたいと自覚した。

  • 就活生という立場からも、気が付いたことには声を上げて社会をより良くする一歩に貢献したいと思いました!

  • 「障害者だから」ではなくて一人の人として向き合う姿勢に感銘を受けました。自分がこれからダイバーシティの担い手であることを、キャリアを歩む中で忘れないようにしたいと思います

  • 就職活動初心者なので、事業などに関する説明を聞くなかで、理解の深め方のコツがつかめたような気がしてありがたかった。障害の有無にかかわらず、自分を伝えることが大切だということを学んだが、どのようにしたらうまく伝わるのかをこれから考えていく必要があるし、また、ご助言があればいただければと感じた。

  • お客様の声を形にするということをされていて、障害を持っている私たちも、恥ずかしがらずに積極的に声をあげていくことが大事だと思いました。

  • アクセシビリティや障がい者の方への取り組みについての見識が広がり、色々考えさせられました。

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