はじめまして。みづきと申します。
私は現在大学の学部2年で、生まれつき下肢に障害があります。普段の生活では主につえ、長距離の移動の際には車いすを使って生活しています。大学では社会学系の学部に所属している文系大学生です。
今回の体験記では、
・学生生活を送るにあたり、入学前に大学に申請した配慮事項
・学生生活が始まってから気づいたこと、周囲(先生や友人)との関わり
について私の体験したことを書こうと思います。
ここに書いたことはあくまで「私個人の場合」ですので、その点を念頭に置いて読んでいただきますようお願いします。
◆学生生活を送るにあたり、入学前に大学に申請した配慮事項
まず、学生生活を送るにあたり、入学前に大学に申請した配慮事項についてです。私が通う大学では、大学に入学することが決まったら、入学後に希望する配慮事項を記載した書類を提出しました。
その際、希望した配慮事項は
通学の送迎のために、自家用車の入構許可
教室間の移動に時間がかかることが予想される。そのため、授業に遅刻してしまう可能性がある。遅刻してしまったとしても単位の取得に影響が出ないような配慮
の2つでした。
それぞれの配慮事項を希望した理由ですが、
1つ目は、保護者に送迎をしてもらうためです。
2つ目は、最初に書いたように、私は下肢に障害があるため、教室間を移動するのに時間がかかります。そこで、授業の開始時間に遅れてしまうことが多くなるのではないかと予想していました。大学の単位取得には、欠席や遅刻の回数が直接関係する場合があります。そこで、遅刻してしまう可能性があることを教員に伝え、その部分での配慮をお願いしたいと考えました。(その後、第一回目に授業の際に自分からも口頭で各教員に配慮してほしい旨を伝えました)。
その後、入学式の前(3月中旬)に保護者と大学に行って障害のある学生の支援を担当する部署の職員の方と私の所属する学部の事務職員の方と面談を行いました。面談の主な内容は、書面で提出した希望する配慮事項の確認でした。1つ目の自家用車の入構については許可がおりること。2つ目の遅刻に対する配慮については、私が履修登録をした授業担当の教員に周知はするが、実際に配慮をするかどうかは教員個人の判断に委ねられるため、配慮を確約するのは難しいということが伝えられました。
その面談が終わった後、所属する学部の事務職員の方と、教室の様子を見学しました。その際に追加した配慮事項が2つあります。
それが、
教室の最後列の一番出入り口に近い可動式の座席を優先座席としてもらうこと
試験の時にも出入り口に近い座席を指定してもらうこと
です。
ー「教室の最後列の一番出入り口に近い可動式の座席を優先座席としてもらうこと」に関して
所属する学部の校舎にある大きい教室(定員100人以上の規模)の椅子は、ほとんどが脚の部分が床に固定された固定式の椅子でした。そのため、椅子を座りやすい位置に動かすことができません。さらに、手を使わずに離着席ができることが目的の椅子なので、座った姿勢から少しでも動くと椅子が勝手に折りたたまれてしまいます。私は下肢の力が弱いことに加えて体幹も弱いため、このような椅子では机と椅子で体を挟まれてしまい、姿勢を長時間保つことが難しいだろうと思いました。
そこで、各教室の最後列の一番出入口に近い座席に「優先座席」と書かれた紙を貼ってもらいました。最後列の一番出入口に近い座席(3席)のみが可動式の普通の椅子だったからです。最後列の席は学生に人気の席なので、私がそこに座ろうとしても座れないことがあるかもしれないと職員の方は話していました。なので、電車の優先座席を表すためのイラストに近いものが書かれている紙を張ってもらうことにしました。人気の席に優先座席と書かれた紙を貼ってもらうことは申し訳ないという気持ちがありました。しかし、職員の方に「優先座席と書かれた紙を見て、どう行動するか(そこに座るか座らないか)は学生個々人の判断だし、何よりあなたが勉強に集中するためには必要なことだから」と言っていただけたことで不安な気持ちが少し和らぎました。
ー「試験の時にも出入り口に近い座席を指定してもらうこと」に関して
私が通う大学の場合、試験の際には学籍番号順に座席指定されるので自分がどこに座ることになるかが、試験が行われる教室に行ってからでないと分かりません。出入り口から遠い席であった場合には移動に時間がかかるのではないかと職員の方から座席指定について提案いただきました。なので、学籍番号に関係なく出入り口に近い席をあらかじめ私の座席に指定してもらうことにしました。
以上のことを、私は配慮事項の希望として大学側に伝えていました。
また、障害のある学生の支援を担当する部署の方も学部の職員の方も、「実際に大学で学生として生活してみないと分からないこともあると思うので、困ったことがあったら遠慮なく相談してほしい」と念押ししてくださったことを覚えています。
◆学生生活が始まってから気づいたこと、周囲(先生や友人)との関わり
学生生活が始まってから気づいたことと、周囲の先生や友人との関わりについてです。まず、入学前に希望した配慮事項についてどうだったかなど私が感じたことを、次にその他、大学生活の中で気がついたことと周囲との関わりについて書こうと思います。
ー配慮事項として入学前に希望した4つのこと
結果的にすべて実現できている、もしくはしていただけていると思います。
まず、1つ目の自家用車が入構することです。車のための入構許可証を発行していただいて大学の構内に入ることができています。校舎の目の前で車の乗り降りができる訳ではありません。しかし、少しでも車から校舎までの距離が短いことはよいことでした。特に雨の日は、パソコンなどの重い荷物を持って門からの長い距離を歩くのは大変なので、自家用車が入構できるように配慮申請をしてよかったと思っています。
2つ目の、遅刻しても単位取得に影響が出ないようにしてもらいたい、ということに関してです。結論から言うと、このことについて配慮をしてもらうことはほとんどありません。なぜかというと、その必要がなかったからです。入学前、大学の教室移動は建物の間を移動することだと思っていました。しかし、私の入学した大学では学部ごとに校舎が分かれていて、自分が所属する学部の授業はほとんどの場合、その一つの校舎の中だけで行われます。なので、同じ校舎の中での垂直移動がほとんどで、休み時間の間に長い距離を移動しなければならないということがほぼありませんでした。そのため、遅刻に対する配慮をしてもらうことがないのです。ごく稀(学期に1つの授業ぐらい)に他学部の建物にある教室まで移動しなければならない授業があるので、この配慮に関しては、念のため、希望しておいてよかったと感じています。
3つ目の、大きい規模の教室の出入り口に近い席に「優先座席」と書かれた紙を貼ってもらうことに関してですが、これも希望しておいて良かったと思います。優先座席は電車と同じようにあくまでも優先です。なので、必ずしも空いているというわけではありません。むしろ人気の座席なので埋まっていることがほとんどです。ごく稀に、そこに座っている人が譲ってくださることもあるので、その時はありがたく座らせてもらっています。また、入学後すぐは優先座席と書かれた紙はどの教室の席にも貼られていましたが、時間が経つにつれ、その紙がなくなってしまいました。紙を貼り直してもらおうかと思いましたが、固定式の椅子に座ることに徐々に慣れてきたので、紙を貼り直してもらうことはしていません。ちなみに、固定式の椅子に座る時は背もたれに体重をかけて座ることを意識しています。
4つ目の、試験時の座席指定についてです。これも同様に希望しておいて良かったと思っています。移動がしやすいことはもちろんですが、別の利点もありました。私が座席指定をされていることを試験監督の先生が認識してくださっています。そのため、下肢に障害がある私がどこに座っているのかが分かるので、試験後に解答用紙を所定の場所に提出するのを手伝っていただけることもあります。この点からも試験の際の座席指定を希望していてよかったと思います。
ー次に、学生生活が始まってから気づいたこと
大きな気づきは、所属する学部の校舎でのエレベーターの大行列です。この大行列には入学してから時間が経った現在でも悩まされています。なぜエレベーターに乗るための行列ができるかというと、エレベーターの数が少ないことと校舎が8階建てであることが理由だと思います。およそ2000人の学生が所属する学部の校舎ですが、エレベーターの数は3つです。私の大学の他の校舎と比べると少ないためにいつも混雑していると思われます。また、校舎は8階建てなので上の方の階に階段で上がることは誰にとってもしんどいことです。そのため、必然的にエレベーターを利用する人が多くなるのです。授業前の休み時間はとても混雑します。行列が20mほどになることもあります。そのため、私は行列ができる前にエレベーターを利用するように、早めの行動を心がけています。そうすると、行列に並ぶ必要がないだけでなく、エレベーターの中で、混雑のために他の人に押されて転びそうになることもないので安心です。
ー最後に周囲との関わりについて
通っている大学、学部ともに私以外にも下肢に障害がある学生が複数名います。そのため、先生方も友人も普通の接し方をしてくれていると私自身は感じています。小中高ともに私の通っていた学校では地元が地方都市であることもあり、私以外に障害のある生徒がいませんでした。そのため、障害のある生徒に対する対応の知見がほとんどない場合が多かったです。その時と比較して、大学の先生方は柔軟に対応してくださると感じます。ただ、何か困ったことがあれば、それを自分で伝えることが大切だと実感しています。
1つ、先生との出来事で印象に残っていることがあります。ゼミの配属先決定後に担当教員の先生と面談をした時に、「畳には座れますか。」と聞かれたことです。ゼミの指導内容と関係のない質問だったので驚いたのですが、飲み会のお店選びの参考にしたいから尋ねたとおっしゃっていました。私は畳に座れるのですが、これほど細かいところまで聞かれたのははじめてで驚いたと同時に、学生一人ひとりのことを考えてくださっていることが分かってうれしかったです。
友人たちも、先ほど書いたように普通の接し方をしてくれていると感じます。ただ、困った時にはすぐ手を貸してくれます。また、すぐ座席がいっぱいになる授業では先に座席の場所取りをしておいてくれたり、私がお願いしていなくても配布資料を取ってきてくれたりします。移動が遅い私のペースを待って歩いてくれています。一方で、私は自分でできることは誰かの手を借りずに自分でやりたいし、徐々に自分でできることを増やしていきたいと考えています。言葉遣いが適切か分かりませんが、友人たちはそんな私の様子を見て手を貸し過ぎることなく接してくれていると感じます。施設や制度面の配慮は学校にお願いしていますが、普段の学生生活をスムーズに送ることができているのは友人たちのおかげです。
以上が、私の大学生活について現時点で感じていることです。
あくまでも私の場合の体験談ですが、少しでも参考にしていただける部分があれば幸いです。長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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