2024年3月26日に、オンラインイベント「ここが変だよ 障害のある学生の新卒就活」を開催しました。この三月で大学・大学院を卒業して就職した学生スタッフ4名が登壇し、就職活動の中で経験した違和感について話しました。
◆イベント前半:パネルトーク
4名のパネリストが、障害のある学生当事者として就活する中で感じた違和感をシェアしました。それぞれのパネリストが経験したモヤモヤと、それに対する他のパネリストのリアクションを紹介します。
①つきつき
数ヶ月に一回通院することと、妊娠出産にあたって通常よりも長くお休みが必要であることが主な配慮事項であり、日常的な配慮はそこまで必要ありません。にもかかわらず、ある企業で障害を開示して個別面談をしたところ、給与が安くなる事務職を執拗に勧められました。できることをやらせてもらえず、大学院まで行った今までの頑張りを評価してくれないことに不信感を抱きました。
私も似たような経験をしました。一般雇用の説明会の質問タイムで障害者への配慮について聞いてみたところ、私は一般雇用の募集を見てエントリーしたのに、特例子会社に行くようにと言われました。ただ、一般雇用でも障害のある人を受け入れている会社は増えてるので、全ての会社がそうだというわけではないと思います。
私も似たような経験があります。私は総合職を目指していたのですが、ある企業で障害のある人はマーケターやエンジニアにしかなれないと言われたことがあります。私は、それでも総合職がいいと伝え、選考の際もそれを貫きました。
障害があるからといって雇用形態や職種を制限するのは間違っていると思います。また、障害のある人に対して、配慮を理由に給料を下げるのも納得がいきません。
②あいか
ある一般雇用のエージェントで、「障害がある人には求人を紹介できない」と言われ傷つきました。また、鬱で起きられない時のことについて、悪気もなく「なぜ」と聞かれたこともあります。
私は、一般雇用と障害者雇用の両方を扱っているエージェントや、一般雇用のみのエージェントを利用したことがありますが、特に嫌な経験はしなかったです。障害に対して理解のないエージェントは確かにありますが、全てがそうというわけではないです。
③はるはる
視覚障害の関係で運転免許が取れないため、免許が必要な会社は諦めるしかないです。しかし、業務で運転免許が必要となるのに募集要項に書いてないことが時々あり、困りました。説明会の最後に質問でそのことが判明すると、せっかく説明会に参加した時間が無駄になってしまうので、あらかじめ募集要項に書いておいてほしいです。
また、SPIを受験する際には拡大鏡や読み上げソフトを使うことが多いのですが、中には、選択肢は読み上げられるのに、問題文は読み上げられないソフトがあり困りました。何回受験してやっと使えるツールが見つかりましたが、図表問題では読み上げソフトが使えないため運任せになることも多いです。
視覚障害のある学生で、筆記試験があるところは受けていないという人や、図表問題を運任せにせざるを得ないという人は多いです。本来の能力を発揮できないのは勿体無いので、改善されてほしいです。
④ゆたか
体幹障害のため腰が痛くなりやすく、クッションが必要であるなどの配慮は必要ですが、日常的にはそれほど手厚い配慮は必要ありません。なのに特例子会社を勧められた経験があります。特例子会社の方が手厚い配慮ができるからというのが言い分でしたが、業務が制限されるのは嫌でした。しかも、その会社はホームページにはダイバーシティについて綺麗なことを書いているので、なおさら腹が立ちました。
私の場合、今の主治医の元に通院が可能な地域で働きたいと考えて合理的配慮を求めたところ、他の人は転勤前提で働いているので特別扱いはできないと言われました。周囲の理解がないからと合理的配慮を拒む企業があり、モヤモヤします。
◆後半:質疑応答
どうしたら障害のある学生の新卒就活がもっと良くなるかについて、参加者からさまざまな質問が寄せられました。主なものを紹介します。
Q.これから社会で仕事をしていく中で、障がいを持った方への世の中の見方・在り方をどうしていきたいですか?
障害の程度は一人一人違う。その人のできることを最大限に引き出せるような世の中になって欲しい。
Q.企業内の医療的なアドバイスとして、どんなものがあると有難いとかはありますか?
医療面のアドバイスは主治医で十分。会社ではキャリアに関する相談に乗ってほしい。
Q.就活をする中で経験した嬉しかったことを教えてください。また、GATE-Cに参加して良かったことはありますか。
一般採用と障害者雇用の両方とも選ぶことができて、一般雇用でも配慮を受けられる会社に出会うことができた。一人一人を見てくれてると感じられ嬉しかったです。
就活を始めようとしてた時に障害がわかったのですが、GATE-Cと出会ったおかげで選択肢が増えました。また、障害に関する相談を素直にできることも良かったです。就活を進める中では、一般枠と障害者雇用の仕事内容が同じかどうかがあらかじめ明記されているのはありがたかったです。
GATE-Cに出会って本当に良かったです。何時間も話せました。そして、障害のことも相談しやすく、助かりました。
一般枠のESでも障害への配慮が必要かどうか聞いてくれる企業があり嬉しかったです。ただし、文字数制限があり説明しきれないことがあったので、それは改善されるとより良いと思います。
Q.面接官が当事者の方が嬉しいとかありますでしょうか。
OBやOGが当事者だと、メンターのような存在になるため嬉しいですが、面接官が当事者である必要はないです。
Q.パネラーの皆さんが障害者雇用の採用担当者に任命されたら、どんなことを取り組みたいですか?
障害に対する社内の理解が必要だと思いますので、会社内の周知から取り組みたいです。
ESや面接を通った人については、どんな配慮事項でも実現させられるように変えていきたいです。
Q.福祉関係者として、どのようなことでお役に立てますか。
障害のある就活生の中には、どんな配慮を求めていいのかわからないという人もいます。配慮の内容を支援者側から提案することで選択肢が広げて欲しいです。
Q.一般採用で障害について伝えるタイミングについて、選考前にした方がいいのか選考中にした方がいいのか悩んでいます。もしよろしければアドバイスいただければ幸いです。
私は、説明会の後に残って個別に質問していました。その企業が障害に関してどのような認識を持っているのかを早い時点で知れた方が時間の無駄が少ないと思います。
Q.一般枠と障がい者枠、障がいがある方の中にも、一般枠で雇用されたい方、障がい者枠で雇用されたい方、両方いらっしゃるかなと思っています。みなさんは、今後も両方の枠が共存していくことがいいと思いますか?それとも、一般枠の中で配慮がきちんとされるようになることが理想だと思いますか?
選択肢があるのは良いことなので、一般枠と障害者枠は共存させていくといいと思います。
Q.就職先の決め手は何でしたか?
私が入社するのは特例子会社ですが、挑戦させてくれることです。人事の方が親身に応じてくださったので安心して働くイメージを持つことができ、かつ、総合職のようにさまざまなことに挑戦させてくれる環境であると感じられました。
私が働く予定の会社は、一般雇用で障害者を受け入れるのは初めてでしたが、人事の方は障害をきちんと受け止めつつ、私という人間の障害以外の面も見てくれました。それで人の優しさを実感したことが入社の決め手です。
Q.就活する際,障がい者採用となると業界の幅が狭いように感じるのですが皆さんは実際に活動して業界の幅が狭いことについてどのように感じていますか?
私自身、配慮事項が叶わなくて行きたい業界を諦めた経験があります。また、障害者雇用があったとしても、裏方的な業務しかさせてもらえず、望む職種にはつけないという企業もありました。後輩には、こんな悔しい思いはさせたくないです。
就活全体が、自分のやりたいこととやれる場所を探すプロセスでした。私の場合、初めは病気のある人を助けたいという軸で企業を探していました。しかし、就活を進める中で、治療が終わった後も障害を背負って生きていく必要があるということに目を向けている企業は少ないということに気がつき、就活の軸を変えました。やりたいことができる企業が今は少なくても、新しいことにチャレンジでき、障害に関する認識もずれていない会社であればいつかチャレンジできると思い、就職先を選びました。
障害のある学生で、やりたいことを葛藤しながら諦めている学生は多いです。また、配慮が多く必要な学生ほど、やりたいことではなく「できること」だけで選びがちです。また、配慮を求めたところ、障害のことばかり聞かれて嫌な思いをしたという学生もいます。
Q.同じ職場やチームに障害がある方がいた場合、同僚としてどのように接すればよいでしょうか。
障害ゆえの困りごとに直面してる時は助けてほしいですが、基本的には他の同僚と同じようにフラットに接してほしいです。自分にとっては、障害があることは当たり前の日常なので、あまり身構えないでください。
障害者も普通の人。また、言わなければ障害があるとわからない人もいる。たまに手伝ってほしいことがある時は、軽いノリで手伝ってほしい。
◆クロージング:パネラーメッセージ
僕の言ったことはあくまでも1人の学生の意見に過ぎませんが、少しでも感じたことがあれば、変化に繋げていってほしいです。差別に苦しんでる人たちが可視化されていって、全体として少しずつ変化が起きていくといいと思います。また、当たり前だと思われていることでも、大変な思いをしている人がいるかも知れないという想像力をぜひ働かせてほしいです。
私は障害を開示した上で一般枠の選考を受けましたが、その中で嫌な思いもたくさんしてきました。しかし、そんな当事者の声を伝えることで、後輩には嫌な思いをさせないようにして行きたいです。ただ配慮をお願いする受け身の姿勢だけでなく、自分から動いていくことを心掛けます。
今の社会では、まるで体、心、知能が揃っていないと就活は難しいかのように見えると思います。私自身も実際にネガティブなことをたくさん経験しました。でも、最終的には納得できる会社に入れたので、当事者の学生はぜひ、心を強く持って就活に臨んでください。
ネガティブなことも多く話しましたが、言いたかったことはお伝え出来たように思います。ぜひ、やりたいことを極力諦めずに進んでほしいです。私自身も、できることで決めないといけないのではないかと思い、やりたいことを諦めかけたことが一度はありました。しかし、最終的には、やりたいことができる会社に出会えました。就活で辛いことに直面した時は、ぜひ当事者同士で話しましょう。企業の方は、ぜひ今日の話を踏まえて障害者雇用のあり方を改善していってほしいです。
