【2023年9月8日開催】
障害のある学生として、新卒就活を経験した先輩内定者にご参加いただき、オンライントークセッション「周りと比較せずに自分と向き合える就活」を開催しました。
◆プログラム概要
<参加学生>
障害のある大学生(障害者手帳所持、申請中もしくは申請を考えている方):10名以下
<プログラム>
15時00分〜16時00分
- ◆プログラム概要
- ◆先輩内定者自己紹介
- ◆就活の軸
- ◆困ったこと/大変だったこと
- ◆質疑応答
- ー就活の軸について
- Q.軸はどのように決めましたか。
- Q.就活軸の「社会を変えること」に囚われていたけれども、「健常者と同等に働ける」「人を大切にしていること」この二つが大事だと思った具体的なきっかけやタイミングはなんですか。
- Q.就活軸は、言葉にして常に明確にしていたのですか。
- Q.就活の軸の「一人一人と向き合ってくれる」の項目について、就活イベントに参加した時に、この会社だったら向き合ってくれるかも、と思った判断基準はありましたか。
- ー就活イベントについて
- Q.身体に重度な障害があります。就活を進めていくうえで、何かアドバイスいただけますか。
- Q.イベントには多く参加した方がいいですか。
- Q.イベントなどで企業側に必ず質問した方がいいことは何ですか。
- ー障害者採用について
- Q.健常者と待遇が同じ企業をどのように探しましたか。
- Q.障害者枠と一般枠とで迷わなかったか。
- Q.どのように配慮をお願いしていたか。
- Q.自分がしてほしい支援(配慮)が必ずしもすべて実現するわけではないというお話がありましたが、配慮してほしいことを言語化した上で、「実現できない」と言われたから諦めるというのは勿体無いですか?そういうことはどう考えればいいですか。
- Q.大学の障害を持つ学生向けの就活支援の担当の方があまり頼りにならない感じなのですが、他に頼れるところをご存知でしたら教えていただけると幸いです。
- Q.精神疾患の人を雇ったことがなく、会社も精神障害についても勉強中で、雇うには不安があると言われました。
- ー就職活動全般について
- Q.10社しか受けていないとのことでしたが、うまくいかなかったらどのようにしようと思っていましたか。
- Q.友人との情報交換は、どんな情報を交換していましたか。
- Q.今まで出来てたことができなくなってしまう落差でメンタルが非常に落ちてしまっているのですが、就活をしていく上でメンタルを保つコツがあれば教えて頂けると嬉しいです。
- Q.自分の就活に点数をつけるとしたら100点満点で何点ですか。
- Q.就職活動の進め方のポイントとしては、企業選びの軸、配慮事項、自己分析ということになるのでしょうか。
- ◆一言メッセージ
◆先輩内定者自己紹介
両下肢機能障害で日常生活で車椅子を使用しています。身体障害者手帳の等級は1級です。
国公立大学の商学部に所属していて、学年は4年生です。
「メーカー(家電・AV機器)」に入社予定です。
◆就活の軸
障害を持ちながら健常者と同等に働ける
人 (一人一人に向き合ってくれる)
社会の当たり前を変える
という3つの軸を置いていました。
当初は、「3.社会の当たり前を変える」に重きを置いていました。
「車いすだから移動の自由を叶えたい」という思いから自動車メーカーを受けたりと、「したいこと」ばかりを考え、主に、企業の事業内容に興味があるかを気にしていました。
けれども、就活を進める中で、障害を持ちながら安心して働くには、「したいこと」だけでは十分ではないと感じるようになりました。
具体的には、障害を持ちながら、健常者と同等に働いて、同等の給料をもらいたいという思いがあったので、「1.障害を持ちながら健常者と同等に働ける」を軸に加えました。
また、障害を持ちながら働くことに対して、不安を抱えたままは避けたいとの考えから、障害を持っている自分にも向き合ってくれるのかを、イベント会場や面接の場で確認していこうと思い、「2.人 (一人一人に向き合ってくれる)」の軸にも重きを置きました。
◆困ったこと/大変だったこと
周りに流されずに就活を進めることです。
友人の一般就活生は、自分より早い時期に就活を始めていたり、
「夏のインターンに〇社参加したよ」
「冬に内定をもらった」
という話を聞いていて、焦りが出てきてしまいました。
しかし、障害を持っている身で、健常者の学生と同じ目線で考えるよりも、絶対的な視点として、自分の就活軸を持って取り組んでいこうと考えました。
周りのペースに流されず、上記の「就活の軸」などの基準を満たしているかどうかを見て、応募・選考を受けるか決めていきました。
自分の中での絶対的な軸を持ってから就活を進めることが、周りに流されないポイントかなと思います。周りを見ることも大事だけれども、自分の軸を持って進めることも大事です。
まわりには、数十社エントリーした人もいましたが、自分は3つの「就活の軸」を満たしている企業のみ受けたので10社ほどエントリーして、内定をもらうことができました。
「早い時期に就活を始める」「色々な企業をたくさん受ける」ことは、経験値を貯めるという点においては素晴らしいと思いますが、特に理由もなく受けまくる必要はないと思います。
障害のある学生の就活は、一般学生とは事情が違うところもありますので、障害者の方ならではの戦い方を身に付け、実践していく事が、就活において重要なのかと思います。
◆質疑応答
ー就活の軸について
Q.軸はどのように決めましたか。
一番の土台になったのは、自己分析と企業研究でした。
具体的には、僕の場合は10年近く体育会系でスポーツをしてきて、「信頼関係を築いて、共通の目標をもつ」というところをずっと取り組んできたので、人を信頼できるかどうかを重要視していました。
企業に入った後も、一緒に働く人のことを信頼できていないと、障害を持ちながら働くことの不安につながると思ったので、自己分析をして、自分の気質とその企業がマッチしているか見るということが軸につながりました。
Q.就活軸の「社会を変えること」に囚われていたけれども、「健常者と同等に働ける」「人を大切にしていること」この二つが大事だと思った具体的なきっかけやタイミングはなんですか。
「どの企業を受けるか」の情報収集時に、不安を感じたことがきっかけです。
情報収集をしている時に、「この情報は、健常者が一般雇用で就職した時のものだよな」「障害をもって入社した時、本当に待遇が同じなのか」と不安になりました。
この不安を解消したいと思い、イベントなどで直接企業の人と話し、解像度を上げようと思ったのがきっかけです。
Q.就活軸は、言葉にして常に明確にしていたのですか。
そうですね。就活軸は面接で聞かれることもありますし、基準をぶれさせないためにも、言語化していました。
Q.就活の軸の「一人一人と向き合ってくれる」の項目について、就活イベントに参加した時に、この会社だったら向き合ってくれるかも、と思った判断基準はありましたか。
障害者雇用の実績が豊富にある企業だと、「こういう障害を持った人には、こういう配慮・対応をしたらいいんだ」という経験をお持ちの企業もあります。具体的には、インターンシップ参加後に駅まで送ってくれた企業があり、入社後のサポートのイメージがしやすかったですね。イベントやインターンで、どういう対応をしていただいたかで、この企業なら入社後も同じことをしてくれるのではないかな、と思いました。
また、イベントで話してみるだけでも、なんとなく、向き合ってくれるかどうかは気付けると思います。感覚ベースになってしまいますが、質問しやすい雰囲気だったり、企業の方からの質問の量とかの印象からの判断でいいと思います。
ー就活イベントについて
Q.身体に重度な障害があります。就活を進めていくうえで、何かアドバイスいただけますか。
イベントに行くことがおすすめです。
車いすで行くと、他の車いすの方や、保護者と来ている方もいたりするので、一緒に情報収集から始めることができます。
Q.イベントには多く参加した方がいいですか。
そうですね。Web上だと障害者就活の情報はあまりないので、イベントの方が効率的だと思います。
Q.イベントなどで企業側に必ず質問した方がいいことは何ですか。
気を付けていたことは、誰が聞いても同じ答えしか返ってこないような質問は避けていました。
質問するのであれば、例えば、「自分にはこのような障害があって、これはできて、これができない、なのでどういったサポートが受けられるか」「どういった職種なら自分でも可能ですか」などですね。
障害は人それぞれなので、自分の障害を企業に伝えた上で質問をしていました。そうすれば企業も自分のことも覚えてくれると思います。管理人より一言
<(同じ障害でなくても)他の学生の質問への回答姿勢を確認する>
自分と同じ障害でなくても、他の学生からの質問に対する企業の回答姿勢を見ていると、「この企業はちゃんと一人一人と向き合ってくれるのか」を確認することができます。
ー障害者採用について
Q.健常者と待遇が同じ企業をどのように探しましたか。
3つあります。
クローバーナビ、ウェブサーナなどの障害者向けのイベントに積極的に参加しました。そこでダイバーシティ部門の人が説明してくれるのでそこで聞くことができました。
障害者向けのインターンで友達になった人と情報交換をしていました。
大学の障害学生支援室、という機関を利用し、おすすめ企業を教えてもらったり、就活のアドバイスをもらいました。
Q.障害者枠と一般枠とで迷わなかったか。
迷いませんでした。
一般枠の場合、イベントに参加しても周りは健常者なので、障害のことを言い出しにくいですし、会話もできないと思いました。また、Web上の情報を見ても障害者雇用のことは詳しく書いていなかったり、SNSや企業ホームページでも情報は得られますが、情報にも限りがありますし、書いてあることが本当なのかも不安がありました。
それならば、クローバーナビなどのイベントで、障害者雇用を進めている企業の方と深く話して、「この企業ならいいな」という企業に焦点を絞ってやろうと思いました。生で話すことで社風も感じることができ、不安も払拭できました。ただ、このように進めた場合、たくさんの企業を受けるのは難しくて、多くて10社か15社くらいになっちゃうかなというところですね。やりたいことがあるのであれば、一般枠から受けて、情報が足りない場合は、面接の中で確認していくのもいいかなと思います。友人の中には、分からないことは、電話して企業の人事に聞く人もいました。
Q.どのように配慮をお願いしていたか。
障害の説明用の書類を作っていました。
作ることで自分の頭の整理にもなりますし、企業の人にも知ってもらえました。学校の障害学生支援室の方に作った方がいいと教えてもらい、添削していただきました。内定後にも使える資料になったと思います。配慮は自分が欲しい最大限のことを書いて、ダメならダメでいいかなと思っていました。【項目例】
・現在の状況(どれくらいなら歩けるのか、リハビリについて)
・配慮を依頼したいこと(できないこと、通勤、通院について、設備、面談など)
・自分が使っている車いすのスペック
Q.自分がしてほしい支援(配慮)が必ずしもすべて実現するわけではないというお話がありましたが、配慮してほしいことを言語化した上で、「実現できない」と言われたから諦めるというのは勿体無いですか?そういうことはどう考えればいいですか。
要望したい配慮が合理的かどうかにも関わってくると思います。企業にもできる範囲はあると思いますので。「これくらいはできるだろう」と思ってたことでも、「できない」と言われたら訴えかけることもできるかもしれないけれども、そのラインは難しいですね…
でも、そういった配慮が断られる企業は、先が見えるというか、入社しても親身に寄り添ってくれないかもしれないなと感じますね。企業も、出来ないなりに言い方もあると思っています。
例えば、「今はないけれども、将来的には対応します」などの回答内容や質疑応答の対応をチェックすることで、障害に向き合う姿勢が分かると思います。
Q.大学の障害を持つ学生向けの就活支援の担当の方があまり頼りにならない感じなのですが、他に頼れるところをご存知でしたら教えていただけると幸いです。
イベントに来ている人事の方は良いと思います。ES添削してもらえたり、障害の自己紹介状も添削してもらえるので。
勇気はいると思いますが、あらかじめ相談したいことを言語化しておいて、向こうが対応しやすいようにして、「これってどう思いますか?」と言ってみるのがいいと思います。
Q.精神疾患の人を雇ったことがなく、会社も精神障害についても勉強中で、雇うには不安があると言われました。
アドバイスとしては、見えないからこそ言語化することが大事かなと思います。
ある企業の説明会で、精神障害の方が自己紹介をしていて、そこで僕よりもはるかに詳細な障害の紹介文章を作っていたんですね。ストレスメーターとか。この曜日は元気がない確率が高い、など。
こういうのがあれば、企業側も雇いやすいんだと思いました。目に見えない分、どういう支援をしたらよいか分かりづらいので、見える形にするのが良いと思います。
ー就職活動全般について
Q.10社しか受けていないとのことでしたが、うまくいかなかったらどのようにしようと思っていましたか。
受ける会社を増やすしかないと思います。
でも、1社1社に対して、どれだけ準備ができるかも大事だと考えますので、自己分析や企業研究、障害者の就活イベントに参加して情報収集をして準備を頑張りつつ、受ける会社を増やしていたと思います。数十社エントリーしている友人と比較してしまうこともありましたが、ちゃんとイベントで話を聞いて、軸に当てはまっている会社にエントリーし、その観点で話を聞いているからこそ、面接の場でも深く理解していることが伝わって内定につながったのだと思います。
Q.友人との情報交換は、どんな情報を交換していましたか。
「どの企業を受けているか」が多いです。その企業に関してどういう情報を持っているかも話していました。
就活のライバルとは思っておらず、一緒にインターンを頑張った、情報共有できる数少ない仲間だと思っていました。
Q.今まで出来てたことができなくなってしまう落差でメンタルが非常に落ちてしまっているのですが、就活をしていく上でメンタルを保つコツがあれば教えて頂けると嬉しいです。
私も2年前に障害を負って、それまでは普通に健常者でした。できなくなることがたくさんあるんだな、という経験をしました。
働く上でできないこともたくさんあるけど、他になにができるのか、それを紙に書いて整理するのが良いと思います。それを企業に見せてもいいと思います。「これができないなら、こういう支援が必要なのか」を考えるようにすると、就活において、企業に説明するときにも便利になると思います。
Q.自分の就活に点数をつけるとしたら100点満点で何点ですか。
80点です。10社受けて内定はもらえましたが、もう少し受けてもいいかなという企業もあったので、受けた方が良かったと少し後悔しています。
受ける企業を、障害者雇用をやっていてかつ、平等に働ける企業にスコープを完全に当てていたので、企業数も絞られてしまいました。一般雇用は本当にやりたいことがあれば受けようと思っていましたが、自分の手が回りませんでした。
でもきちんとスコープを定めて軸をブラさずに就活を進められたのは作戦通りだと思います。
Q.就職活動の進め方のポイントとしては、企業選びの軸、配慮事項、自己分析ということになるのでしょうか。
面接、WebテストなどはSNSにいっぱいTipsが転がっています。それ以外の土台の部分、どういう生き方をしてきたか、どんなことができるか、どんな障害があるかは、ESで自分で説明しないといけません。
そこを徹底するために自己分析、企業研究をしていました。この土台を作るために、小学校から思い出して書いて見たりしました。実際に企業に3000字で書きなさい、など求められたこともあります。自己分析の内容や障害について、きちんと言語化できるレベルまで詳細に書くことが良いと思います。
◆一言メッセージ
就活をしていると、最も分かりやすい「他者との比較」に直面してとても不安になることが多いと思います。
しかし、一般学生とは事情が違えば就活における戦い方も変わってくるので、まずは自分はどういった戦い方をするのかということを明確に定めて就活に臨むことで「周りと比較せずに自分と向き合える就活」ができると思います。
安心してやりたいことができる企業に入るために自分なりの就活の進め方を見つけてもらえればと思います。
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